早嶋です。
統計の教科書のはじめに以下のような物語が書いています。
マルコム・フォーブスの話。彼は気球で飛行中に道に迷い、何マイルも漂ったあげくの果てにトウモロコシ畑の真ん中に着陸しました。フォーブスの気球に気づいた男が気球のところまで走ってきました。
そこでフォーブス、「ここが何処なのか教えておくれ」と。男曰く、「そこはトウモロコシ畑のカゴの中だよ」と。フォーブスは「あなたは統計学者ですね?」と尋ねると、男は驚いて、「なぜ分かったの?」と。フォーブス「簡単なことさ、統計学者がくれる情報は簡潔で正確でその上全く使い物にならないからね」と。(参照:American Statistican 44, no.2 May 1990,p122)
統計と言ってもビジネスで活用する統計は、大まかに正しい結論を高い確率で導くことです。このような統計の使い方によって、ビジネスや経済、消費者行動などの分野において、意思決定の制度を高めることができます。また、統計学がビジネスにおいて不可欠なツールであることは、世界のどのビジネス・スクールにおいても統計学はMBAを目指す者の必修科目になっていることからも分かります。
近年、コンピューターの処理能力や記憶能力が向上して膨大なデータが蓄積されるようになりました。そして、そのデータを元にあらゆる分析が盛んになっています。しかし、その根底の考え方や想定される状況、データ分析の限界を理解していないと痛い目を見ることがあるでしょう。
なぜならば、コンピュータの処理能力が向上しても、コンピュータはそのような計算やモデルの問題点についてまではヒントを提供するに留まるからです。このヒントを元に解釈して最終的な意思決定を行うのは人間の仕事です。そのために、統計の知識は不可欠なのです。