早嶋です。
ガソリンの暫定税率の期限切れが濃厚になってきました。しかし、ガソリンスタンドにとって、思わぬ混乱が生じるのでは無いでしょうか?この混乱の要因を2つ示しましょう。
1つ目です。4月1日からガソリンスタンド各社が即座に値下げする対応が難しいと言うことです。
現在の暫定税率は、ガソリン1リットルに対して25円、軽油1リットルに対して17円が課税されています。これが無くなるのですから、ガソリンや軽油はその分安くなりますよね。では、何が問題なのでしょうか?
それは、上記の暫定税率が課税されるタイミングを考えると良く分かります。ガソリン税は製油所から出荷された時点で課税するため3月末までに各ガソリンスタンドが仕入れたガソリンは暫定税率が上乗せされています。この課税方式は、蔵出し課税と呼びます。つまり、4月になって暫定税率が無くなったからといって課税された蔵出し在庫がなくならない限り、ガソリンスタンドは安く提供できないのです。課税分を値下げするのは大変な話ですからね。
簡略化すると、125円/ℓで仕入れたガソリンを100円/ℓで販売するイメージですからね。しかし、一般消費者にとって、そんなことは分かりません。つまり、「ガソリンが安くなってないよ!」と苦情が殺到するのではないでしょうか?
また、大手のガソリン小売店はここぞとばかり、4月1日からガソリン価格を下げて、上記のカラクリを度外視して他の顧客シェアを一時的にでも奪おうとするかも知れません。これが1つ目です。
そして、2つ目の要因。これは、飛込み需要です。3月の今の時期、感覚的にガソリンを入れるのを控えていらっしゃると思います。だって、4月から安くなるのですから。そうです、4月になって急にガソリンスタンドに需要が殺到するのではないか?と言うことです。
新日本石油会長で石油連盟の渡文明会長は、通常、1日当りのガソリン販売量は全国で約15万キロリットルと言っています。これが4月1日には、瞬間的に約200万キロリットル程度に急増するのではないか?と。実に13倍もの需要・・・。
ガソリンスタンド側も3月末の店頭在庫を減らす動きを見せています。3月末に過剰に仕入れると、上記で指摘したカラクリで4月の等分、高いガソリンを販売しなければならないからです。しかし、4月になって大量のガソリンの注文が入ったとしても、タンクローリーの数は限られているので、販売店への配送が間に合わずに、場所によっては品切れや販売規制も予測されます。これが2つ目です。
と言うことで、3月末にとりあえず、高くてもガソリンを満タンにしておいた方が無難でしょうね。