早嶋です。
先日、中国にいる友人とやりとりをしていて興味深いお話を伺いましたのでお伝えします。この話自体は、野村総研の緒方氏の講演の中の1コマだそうです。その内容とは、ずばり「中国では高級機能の家庭用品は売れない!」です。
日本の家電メーカーは、市場開拓の一環として、日本で販売好調の高機能洗濯機を中国に持っていけば必ず富裕層に売れる!と信じていました。そこでまず、上海でテストマーケティングを行います。しかし、日本企業は上海の消費者構造が全く見えていなかったのです。
上海富裕層のペルソナ像は、夫婦二人のどちらかか、あるいは両方が共に外資系企業に勤務するマネジメント層です。世帯年収は20万元を超え、子供の面倒は専ら引退した両親が見ています。そしてポイントは、殆どの上海富裕層が家事をお手伝いさんに任せていることです。ここは重要です。
上海のお手伝いさんは、地方出身の出稼ぎ者で賃金は400~500元/月程度です。これは富裕層の上海人に限りません。多くの上海人は共働きをしており、そのため家事をお手伝いさんに任せるのが一般的なようです。そうなのです。お金を出して高機能洗濯機を買う人と実際に使う人が異なるのです。
上海富裕層のマインドとしては、高機能洗濯機を買っても使うのはお手伝いさん、地方出身の彼ら彼女らに高機能の機械を使いこなせるわけが無い!使えたとしても、すぐに壊すのが関の山、と言った感じなのです。上海富裕層の心の中では、地方出身の田舎者を徹底的に馬鹿にしているそうです。
となれば、初めから上海富裕層は高機能洗濯機のターゲットになり得ないのです。日本を良く知っていてもお隣の消費者構造を理解していなければ理解できないポイントですね。
お手伝いさんを普段から雇っている国は中国に限らず東アジア諸国から中東にかけて割りと沢山あります。このような国々の家庭用品は、そこで育ったマーケターを中心にプロジェクトを組むと上手くいくかもしれないですね。