早嶋です。
テレビの広告を見ていて、「広告は知っているけれども、何の商品か分からない」「商品名は覚えているけど、何に使うのか分からない」といった経験はありませんか?
今までに無かった商品を、世の中に伝えるとき、タレントや女優を起用して商品のイメージを中心に伝える手法があります。この場合、上記のことが起こりがちです。
消費者は商品について具体的なことを知らないので、どのように使えるのか、何に役に立つのか、どんなメリットがあるのか、などが全く分かりません。特に、画期的な商品や全く新しい商品は、他の商品との類似した使用シーンとのイメージが難しく、このような商品をイメージ中心の広告で宣伝しても、タレントや女優の印象のみが残るの関の山なのです。
イメージ広告が効果を発揮するのは、消費者が商品の規格や機能、基本的な使途を知っている場合です。
そこで、今までに無かったような商品を世の中に出していくためには、普及理論に出てきたイノベーターやアーリーアダプターに商品の具体的な情報を伝えることが重要といえるでしょう。
普及理論を軸に考えていくと、普及レベルによって、企業は商品を普及させていくときのメッセージを段階的に変えていく必要があることに気付くと思います。メッセージは提案対象によって、影響を与える範囲が変りますので、その段階に応じたメッセージが必要です。
以下は、提案段階によって分類されるメッセージの考え方です。1)規格の提案、2)機能の提案、3)使い方の提案、4)ベネフィットの提案、5)文化の提案です。
HDD付きのDVDレコーダーを例に見てみましょう。当初、イノベーターに対しては、『300GのHDD付きDVDレコーダー』としてメッセージを提供していました。これが、アーリーアダプターの段階になれば、『合計●●時間録画できます!』といった機能を伝えるようになりました。そして、アーリーマジョリティーに対しては、『好きなキーワードを登録すると、自動的に該当する番組を自動録画します』、といった使い方の提案に変わります。更に、レイトマジョリティーに対しては、『テープを入れ替えたり、保管する手間が省けます』というベネフィットを訴求します。最後に、ラガードに対しては、『現代の情報エージェント』という文化を提案するようになっています。
液晶TVでも、アーリーアダプターに対しては、『こんなに薄型!』というように薄型を強調していましたが、最近では、『横から見てもキレイ』というように液晶は部屋のインテリアの一部のように溶け込み、部屋が広々と使えることが強調されています。まさに、ベネフィットの提案を強調しているといえるので、ターゲットがレイトマジョリティに移行していると考える事が出来ます。
商品を効果的に伝えていくためには、商品のライフサイクルを考えて、それに応じたメッセージを提供することが重要なのです。
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