早嶋です。
海外のCDショップに行くと、「CDを2枚買えば1枚はタダ」というオマケをつける売り方をしています。CDショップ以外でも、スーパーマーケットや小売店でも、このような売り方を目にします。
CDを2枚買うと、1枚タダというオマケに対して、CD2枚分の価格から割り引くというサービスを考えられます。この話は、割引VSオマケで書いたように、基本は割引の方が値ごろ感が高くなります。心理的には、オマケをつける財源があるのであれば、その分、割り引いて欲しいと考えるのです。
これを説明するキーワードに、損失回避、という概念があります。ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン教授によれば、「人間は同額の利益から得られる満足よりも、損失から受ける苦痛の方が大きい」とのべています。そのため、利益を得るよりも損失を回避することを優先するのです。
上記より、心理的にも、割引の方が、同額のオマケよりも選択されやすいことが言えます。
例えば、2つの箱の中にお金が入っているとします。1)の箱には5万円、2)の箱には20万円入っています。ただし、2)の箱は、50%の確率で全額もらえるか、1円ももらえないとします。
確率で言う、期待値を考えれば、1)の期待値は5万円。2)の期待値は、10万円(20×0.5+0×0.5)です。合理的な判断では、得られる期待値が高いほう、つまり、2)を選択するはずですが、実際は、1)を選択する方が多いでしょう。
心理的には、このような選択肢を迫られた場合、5万円も20万円も同じで、確実にもらえるほうが良いと考えるのです。もし、2)を選択したら、1円ももらえない場合がある。だから、確実にもらえる1)を選択するのです。この心理が、損失回避、です。
(値ごろ感) = (価値:value)/(費用:cost)
前回から登場している値ごろ感の数式、で説明すると、損失を回避すると言うことは、分母の費用をいかに引き下げるか、ということによって値ごろ感を上げる意識、といえます。この損失回避は、余分なリスクを避けたいといった、誰もが持っている安全欲求からも説明できますね。
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