早嶋です。
消費者の購買プロセスを研究する学問があります。消費者行動論です。消費者行動論のフレームワークに沿って、購買までの動機を追っていくと、問題認識→情報検索→評価・選択→購買→購買後評価、となります。
これまでのマーケティングの歴史の中、マーケターは顧客の事情をそっちのけで、マーケターの都合で情報提供をしていました。しかし、顧客が問題認識を終えた直後の、情報検索のフェーズでいかに有意義な情報提供を出来るかが、次のフェーズの評価・選択、そして購買までの行動に移してもらえるかどうかの鍵でした。
近年、情報技術が発達して、ダイレクト・メールやeメール、各種広告など、プル・マーケティングが盛んに行われるようになりましたが、依然として一方的な売込みが目立ちます。それは、顧客の購買行動を明らかにしないまま、つまり顧客が望むタイミング、「いつ」というタイミングを全く考えていなかったからです。
ダイアログ・マーケティングという手法は、顧客との関係を深めていった結果、顧客の購買行動において、情報検索のフェーズが「いつ」なのか、またその情報のレベルは「どのようなもの」を求めているのか、を明らかにして、顧客に応じた情報提供を行います。
現在のマーケティング活動の基本は、顧客データをはじめとする様々なデータの集まり、つまり、データベース(DB)にあります。DBから一般的に年齢や所得、職業や職制などの特性(デモグラフィックス)と嗜好や価値観、行動志向などの特性(サイコグラフィックス)によって顧客をセグメンテーションします。
上述のDBを用いて企業の目的に応じて顧客を絞り込み、企業の都合で一方的でしかも画一的なメッセージを送るといった販促がまだまだ主流です。
マーケティングの歴史を見てみると、80年代にデータベース・マーケティングは、顧客の囲い込みと顧客基盤の拡大に重きを置いたリレーショナル・マーケティングへ進化しました。これによって、顧客別の収益性や生涯価値(LTV)を把握することができ、セグメンテーションの方法に制度が増しました。
それから、10年。マスから、ワン・トゥー・ワン・マーケティングが登場し、顧客を個人として識別するIT技術を駆使して、顧客1人1人にメッセージを送れるようになりました。ただし、ネットワーク以外の媒体では、個人個人に合わせたメッセージを最適化することが難しく、大きな発展はありませんでした。
今後、主流となるダイアログ・マーケティングはDB技術と顧客対応の技術が融合したようなものです。ただ、これまでの機械的な作業で行うものではなく、あたかも優秀な営業マンが其々の担当顧客と個別に『対話』を通しながら、顧客の信頼関係を築いていきます。
ダイアログ・マーケティングを行うための情報技術の基盤は既に世の中に存在します。さらに、この研究も様々な分野で取り組まれているため、今後もますます発展する分野です。
課題として残る部分や、企業の中で、マーケティング部門と営業部門とIT部門が旨く融合しなければならない点です。ダイアログ・マーケティングを実現するためには、人と技術の融合が不可欠で、部門間の協力なしでは出来ないからです。
企業から発信されるメッセージは、あたかも専属の担当者が付いて発信しているのではないか?と言うくらい制度の高い『ダイアログ:対話』として提供される。そんな時代も、まもなくやってくるのではないでしょうか。
—ブログマーケティング第4弾、ただいま実験中!—
実験の詳細は、ブログマーケティング『第1弾!』『第2弾!』『第3弾!』『第4弾!』をご覧ください。
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