早嶋です。
ネットで購入できるモノといったら何を想像しますか?本、コンタクトレンズ、ブランド物・・・、CM?
広告代理店大手の電通は、インターネット経由でテレビCM加工からテレビ広告枠の発注までが可能な簡易なテレビスポット広告取引、CMGOGO(シーエムゴーゴー)を期間限定(H18年10月2日からH19年3月31日まで)で開始しました。
電通によると、『今回のスキームは、これまでテレビ広告を活用したことのない企業の中で、「事業拡大」「ブランド認知」などを目的にテレビ広告を活用してみたいと考える振興企業等を対象に行うもので、インターネットの活用によりその手続きのためのコストや期間を圧縮することで取引機会を増やそうとする試みです。』とあります。(電通:News Release参照)
テレビCM放映までの仕組みは簡単です。テレビCMを行いたい広告主は、以下の流れで放映までをネット上で行います。
1)放送地域を選ぶ(地図から県をクリック)
2)放送期間を選ぶ(開始日や放映回数を指定)
3)CMライブラリーよりCM素材を選ぶ(用意された映像ファイルをクリック)
4)CMに加えたい写真や文字やロゴを登録(ブログ感覚で作成できる)
5)放送!
気になる料金ですが、関東地域で15日間に10回放映する場合、525万円(税込み)。ただし、放送局の選択はできません。CM作成までのスキームを標準化・簡易化することで登録から最短で1ヶ月の放映も可能だそうです。
製作費だけで数千万円に上ることを考えるとテレビCMの常識を覆すと言うことでユニークなビジネスモデルですね。
最近は、テレビCMの効果がいかほどか?と言うことで、YouTubeなどWeb上でのCMが盛んになっています。Nikeや日清のCMは評判を呼んでおり、頻繁に露出されていました。YouTubeを使えば媒体の掲載料はゼロで済むし、話題を呼べば映像が世の中にさらされる確立が高くなりますからね。
今回の、CMGOGOで作ったコンテンツも放映を過ぎると流れるんじゃないか?と思います。そうなると電通の15日間に10回放映の枠も意味が薄れますね。ただ、今回のパッケージの規制に、『CM素材はご購入いただいたCMを放送する枠のみでの利用となります。お客様からのお持込のCM映像はご利用いただけません。CM素材の著作権は電通に帰属します。CM素材の長さは15秒のみとなります。』とあり、一応は流用できないように規制していますが。
もう一つ気になったのは、CMGOGOで製作したCMの効果です。テレビCMを有効に利用するためには、一定量の視聴率と投下量が必要になると言われます。マーケティング用語ではリーチとフリークエンシーと呼ばれます。CMがどのくらい視聴者に到達したかの数と視聴回数がある基準を超えなければCMの効果は期待できないという内容です。
つまり、15秒のCMをたまたま1回見ただけでは視聴者の記憶にも残らないだろうし、購買の動機付けにもつながらないでしょう。最低でも8回から10回程度は視聴させないとCMの意味はないという学者もいるくらいですので、スポット枠でいつ放映されるか和からないCMの効果には疑問です。
今回のCMGOGOの目標は、テレビ広告を実施する広告主側の手続きがネット上で簡便に完結できることを検証する場でもあるようです。CMの効果や対投資効果には疑問ですが、新しいビジネスモデルとしては大変興味があるモデルでした。
—ただ今、ブログマーケティング実験中。—
実験の詳細は、『ブログマーケティング実験』『ブログマーケティング結果報告』をご覧ください。
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