早嶋です。
2000年に森総理が持ちかけた、e-JAPAN構想。これは、5年以内に世界最先端のIT国家になることを目指し、ITインフラを整備し、国の制度を整えていこうという構想でした。
当時、ITをイットと読んだことから、逆にITの認知が高まりこれらの制度を支えるための様々な基本戦略や基本法が制定されましたね。では、05年を過ぎた今、果たして日本は世界最先端レベルのIT国家になったでしょうか?
これに対して、ハイとは言いがたいですね。ブロードバンドの単位容量あたりの使用料金は、孫さんのお陰もあって、世界一安い価格で利用できるようになりましたが、電子政府という点においてはまだまだですね。
国の申請や届出といった各種手続きをオンライン化して行政の効率と国民の利便性を図る、というのが電子政府の題目でしたが、実際は2000年当時とほとんど変わっていません。
利用率0.4%。これは、電子政府の一環として進められている電子納税の現在の実態です。電子納税は、ネットワークを使って税務申告から納税を行うシステムです。国の構想によれば、この時期の利用率は20%。一方、電子納税を開始して既に10年が経過する米国では利用率は50%あまり。この差はいったい何なのでしょうか?
答えはずばり利便性です。
米国の電子納税システムは非常に良く出来ています。例えば、PCで使う会計ソフトとクレジットカード会社のシステムがネットワーク上で連携しており、電話代金や光熱費、銀行の引き落としなど、クレジットカードを使った支払いは、会計ソフトが会計項目を自動で選択し整理します。また、その会計ソフトと税務署の納税ソフトをリンクするためのソフトが非常に充実しているため、会計結果を自動的に納税システムに反映することが可能になります。納税の際は、システムで自動的にやり取りされた結果を確認してOKというわけです。
では、日本の電子納税はどうでしょう。現行のものは、税務署が送付する申告書をただ単に電子的に記帳できるようにしたものにすぎません。会計結果を税務署の書式に従って書き直す必要があるので、二度手間になります。さらに、電子媒体に領収書等は添付できないので、電子的に申請した内容を紙に印刷して、別途、領収書とともに税務署に届けなければなりません。
アメリカのように、売れている会計ソフトと連動するような思想、つまりユーザーのことをもっと考えた発想だと、もっと電子申告を利用するヒトが増えると思います。
国は、2010年を目処に、電子申告の利用率を50%と掲げていますが、申告をするユーザーのことを良く考えた仕組みにしない限り普及しないでしょう。専ら、電子申告の普及が、お役所の仕事を不要にするものなので、本腰を入れたくないということなのでしょうか?
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