早嶋です。
トヨタが、「テレビCMは本当に効果があるのか?」と言うことで、スポンサー契約を結んでいるNBCに対して、視聴率に変わって、番組関心度の保証を求めています。
トヨタの米国におけるCM料金は膨れ上がり、ここ6年間で約4300億円。しかし、CM費に比べてその効果に疑問を抱いたトヨタが今回求めた条件が番組関心度です。番組関心度調査は、視聴者にテレビ番組の内容やストーリーの質問をするため、視聴率調査のように、スイッチを入れているだけでは、調べることが出来ません。また、印象が低い番組に対しては視聴者の記憶に残らず、数値が上がらない仕組みになっています。
米国トヨタ自販によれば、「番組に関心が高い視聴者はその番組で流れるCMに対する関心もおのずと高くなる、と我々は考えている。良い内容の番組なら、視聴者はCMが流れている間に、例えばサンドイッチを食べにどこかに行くようなことはしないはずだから」としています。
???。本当にトヨタの発言なのでしょうか?というのも、そもそも、テレビ番組の見方が変わっているので、テレビCM自体の合理性を考える必要があると感じるからです。
たとえば、米国では、Tivoが大きなシェアをもっています。TiVoとは、テレビ番組をハードディスクに録画するビデオレコーダーのようなものです。ユーザーは好みのキーワードを登録し、Tivoが該当する番組を自動的に録画します。ソニーのコクーンみたいなコンセプトです。
とりあえず興味ある番組を録画して、見るときはテレビやパソコン、iPodなどの携帯端末で見るのです。また、Tivoによって見る時間帯も異なります。Tivoは、見たい時間に番組を再生し、同時にCMをスキップします。トヨタが主張するように正確な番組関心度を調査したところで、CMがスキップされていれば、全く意味がないのです。
Tivoのほかに、スリングボックスなるコンセプトもあります。こちらは、自宅で録画した番組を自宅の外のパソコンや、携帯端末を使って見る仕組みです。ケーブルテレビのシェアが大きい米国では、自宅以外で番組を見る場合、別途契約が必要になります。スリングボックスを使えば自宅の契約で、旅行先、仕事崎で録画した番組を見れると言うことです。
トヨタが主張する、番組関心度は、どの媒体で番組を見た視聴者を対象にするのでしょう?また、関心を持った視聴者がCMを飛ばしている可能性を考えているのでしょうか?いづれにせよ、世界のトヨタが、このような考えをいまだに持っていると言うことに驚きです。
「テレビCMは本当に効果があるのか?」と言う疑問を、テレビの世界だけで考えても全く意味がないのです。世の中の情報を結んでいるサイバー空間を理解していない大企業を垣間見た感じです。
—ただ今、ブログマーケティング実験中。—
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