早嶋です。
ダイムラークライスラーのクライスラー部門が6/30に従業員向けの割引価格で一般消費者に新車販売を行う販売促進を7/1から始めると発表しました。
対象となるモデルはクライスラー、ジープ、ダッジの2006年モデルのブランド。米国内のデイーラー3900点で1ヶ月間実施するようです。
ダイムラークライスラーが実質的な値下げによる販売促進に踏み切った背景は、去年まで米GM(ゼネラル・モーターズ)や米フォードに比べて販売が堅調だったものの、今年に入ってから減速した事と、今年の後半に予定している新モデルの投入前に在庫を一掃する狙いと言ったところでしょう。
この発表に前に、米GMは、競争激化に加え、業界の収益性を低下させた価格競争から脱却する戦略を取ったために、6月と7月の販売台数が前年同月を下回ると発表しています。去年の同時期のGMは、低下するシェアを引き上げる目的で、従業員向けと同様の値引きを一般顧客に適用させ販売台数を伸ばしていました。しかし、この値引きによる需要は、一時的なものとなり、その後需要は減少しています。
今回のダイムラークライスラーが取った戦略は、去年米GMが取った戦略を繰り返すことになります。一方、米GMは消費者への値引きやディーラー向けの販売奨励金といった依存度を低くして価格を維持する方向にすすんでいます。
アメリカにおける大手自動車会社が全く異なるアプローチで市場シェア獲得に進んでいます。値下げによる市場支配には、通常、落とし穴があります。一般的に低価格によって市場シェアを獲得することは可能ですが、市場のロイヤリティまで獲得できないと言うことです。より低い価格が登場すると、このような顧客はそちらに乗り換えます。
これまでGMが取ってきた低価格戦略によって、顧客の値ごろ感が低下して割引になじんでいる。その後、ダイムラークライスラーが更にその価格帯になじんだ顧客の値ごろ感を刺激して、値引きの価格帯が定着する。となれば、米国市場の低価格競争を業界が連携プレーで行っているという悲惨な結果になる可能性も十分考えられます。7月の短期的な市場動向と今年の年末から来年の初めにかけての米国自動車販売台数のメーカーごとの推移が気になりますね。
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