早嶋です。
既存顧客との重要性を考える時、お客様との関係を一回で考えるのではなく、生涯にわたる関係で考える考え方があります。このような、考え方を生涯価値(LTV:Life Time Value)とよんでいます。
例えば、毎年、クリスマスの時期に決まって、プレゼントを買いに来るお客様がいると仮定します。このお客様、Aさんは、プレゼントの総額を毎回、2万円程度買ってくれています。ある時、このお客様が店員に不満を感じました。そして、それ以降お店に来ることはありませんでした。店員が、お客様に誠心誠意、対応していれば、またお客様はお店に来ていたかも知れません。ですが、今回は、そのような対応が無く、Aさんは二度とお店に来ることはありませんでした。
さて、このAさんが来なくなることによるお店の損失はいくらになるでしょうか?もし、ここでAさんがお店に来なくなることによる損失が2万円と考えたら、それはAさんとの関係の重要さを全く理解していない事になります。Aさんは、不満を感じなければ永続的に、毎年2万円のお買い物をしてくれるからです。このように、Aさんとの関係を1回限りとして考えるのではなく、生涯にわたって継続的に考えると、Aさんの不満を解消しなかった店員の対応は、2万円以上の損失になったことになります。
生涯価値を計算する方法は沢山ありますが、このような場合、ファイナンスの概念を知っていれば簡単に計算できます。この例は、お客様が毎年2万円の売上に貢献していただいていると考えることが出来ます。毎年2万円のお金を永続的にもらえる債券、永久債として考えることが出来ます。
仮に今の金利を1%とすると、この永久債の価値は、20,000/0.01=2,000,000となります。つまり、Aさんを失った損失は、2万円どころか、200万円と計算されるのです。ここで、金利を1%としたのは、現在の1万円は、1年後の1万円よりも価値があると言う、ファイナンスの考え方によります。一般的に現在価値という概念です。
実際は、Aさんが不満を感じたままだと、その不満を他のお客さまに話し、それによって、別のお客様を失うかもしれません(不満足の伝播)。このように考えるとお客様を不満状態にしたままの店員は、お店にとって相当の損失を与えたことになります。お客様との関係を生涯的なものと考えることは非常に重要な事ですね。
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