早嶋です。
ROI(return on investment)は財務分析では一般的。投下した資本がどれだけ利益を生んでいるかを測定する指標です。
この考え方をマーケティングの世界に活用し、マーケティングの費用対効果を測定する企業が増えています。(総じてマーケティングROIとか、mROIなどと呼びます。)
情報システムの発達とともに、数年前では難しいとされていた測定が可能になり、mROIと市場シェア、売り上げ、利益などとの相関関係を定量化できるようになったのがmROIの普及に関係しています。また、アカウンタビリティ(説明責任)の要求からmROIを高く維持するための責任者としてCMO(chief marketing officer)は注目を集めています。
ハーバード・ビジネス・レビューによれば、調査対象のCMOのうち80%以上がmROIの測定結果に不満を抱いているとの事。mROIの効果測定方法がより正確になり、活用しやすくなるにつれて、CMOの不満が募っているそうです。
なぜmROIにジレンマが発生しているのか?この答えは、マーケティング効果が期待に届かず、さらには悪化しているという事に起因しています。同誌の調査では、マーケティング活動の84%が凡庸なもので、ブランド価値や市場シェアを引き下げている。これは、販促活動が利益に貢献していないことを意味します。mROIの測定結果は、良いどころか、かなり悪かった。このことにCMOは不満を持っていたのです。
測定する事に躍起になっても仕方がない、重要なのは数値に振り回されるのではなく、なぜこのような悪い結果になったのかを十分に検討することです。正確な測定によって、あいまいなターゲッティング、甘いポジショニング、月並みの広告、ありきたりの商品・サービス、不適切な資源配分などが今後詳しく測定・検証できるようになるでしょう。mROIを測定することで取っている戦略に修正を行い、マーケティングの予算の最適化が図れます。mROIは実にすばらしい考え方であり、今後、積極的に企業は導入を進めていくと感じます。