ローマの街並を歩いていて思うこと。いわゆるイタリアオヤジのファッションが洗練されている。仕事をしている日本で言うところの”サラリーマン”は皆いけています。その理由についてですが、特にファッションセンスが良い!というのもあるでしょうが、皆がジローラモに見えるのには何かワケがあるはずです。いくつか推察してみました。
■ショップの充実
ショップが洗練されているという見方。日本と比較した場合、スーツやシャツやニットなどのお洒落な仕事着が体よく並べられているお店が多いです。そして、日本のように多種多様な品揃えと言うよりは、少量の決まった組み合わせがメイン。どれを組み合わせても、センスよく着こなせる服が主流のようです。奇抜な色も無く、配色もはじめから厳選されているかのよう。
これは誤ってセンスが無い服を購入するリスクが低いとも言えます。日本のアパレルショプのように多様なセンスに応じたファッションはなく、誰が着ても似合う組み合わせしか置いていない。これは、ショップがそうしているのか?多様なファッションを受け入れないイタリアオヤジがそのようなショップを排除していったのか?どちらが先か、分かりませんが素晴らしく均衡がとれているのは間違いありません。
■ちょうどよいサイズ感
イタリアオヤジが様になっているのは、誰もが自分のサイズを知っている、と思うくらいフィットしています。ヒトによっては素材や質感は様々ですが、サイズが大きかったり、小さすぎたりするイタリアオヤジは皆無。ここも彼らがかっこ良く見えるポイントでしょう。
イタリアオヤジのパンツは総じてピチピチ。自分の足を最大限長く見せるためには、少し細めの形が一番合うそうです。ということで街を歩いているイタリアオヤジのパンツ姿はスーツであれ、ジャケパン姿であれ、かなりの細身です。超一級の繁華街に時々、犬を散歩しているイタリアオヤジがいます。彼らはジーンズであれ、パンツルックであれそんなに?という位細身をはいています。あれは、ちょっと真似は出来そうにありませんが、自身の体型を一番かっこよく、クールに見せるすべを身につけているのでしょう。シャツもジャケットも首回り、袖丈、肩のラインに至るまでぴしゃり。サイズ感はとても大切ですね。
■髪型
多くのイタリアオヤジはショートヘア。天パで巻いた髪もあれば、ストレートもいます、髪質は様々。しかし、ロングヘアより圧倒的に多いショート。きっちり整っている訳ではなにのですが、こぎれいにまとまっています。髪型にも気を配るのがイタリアオヤジ流としては当たり前なのでしょう。
■小物
どのイタリアオヤジでも何か一つ小物を取り入れています。今の季節だったら首元にショール。ジャケッパン姿でなんちゃないイタリアオヤジでも胸元にはチーフ。太陽がまぶしいせいもあるでしょうが、誰でも普通にサングラス。どこぞのモデルが歩いているかのように、夫々がちょっとした所に気を使っている?と感じるような一工夫。これは、センスが無いと出来ない技ですね。
■行動
街を歩いているイタリアオヤジの行動も観察すると共通点があります。朝は通勤前にエスプレッソバーでエスプレッソを立ち飲み。ワンショットが1ユーロ前後なので、仕事の合間を見つけてはサッと入って、飲んで出ていく。昼は近くのピッサリアか売店でピザの切り売りをほうばるか、パスタを食べる。もしくは、切り売りのピザを食べながら移動する。昼時になると、おいしそうな売店はイタリアオヤジで埋め尽くされています。実際にこのようなお店に入ってみると、格安で旨い。イタリアオヤジはかなり経済的な動きをしているのでしょうね。
■歩いている通りがいけている
後日、他の街並を歩いていて、上記の観察事項は、一概に語ってはいけないことを感じました。ベネト通りと言われる大使館や金融関係者が多く勤めているであろう地域のカフェは、誰もがイタリアオヤジ!代表選手でしたが、地下鉄から少し離れてみると、普通のファッションの方々も多くいます。当たり前と言えば当たり前ですね。しかし、やはりそれでも平均的なファッションセンスは群を抜いて高いように感じます。
■こだわり
きっと、このこだわりはローマ時代から受け継がれたものだと思います。イタリア全土を全く知らないのでローマだけでの観察事項でが、ローマの街には、他の文化が少ない、或は根付いていない。例えば、日本や韓国や中国、他のアジア勢の街並は、おしなべて同様の変化を遂げています。中心地にはコンビニがあり、ファーストフードなどの世界共通ブランドが栄えてきます。加えて、自国の食事を提供するお店に、中華、コリアン、日本食、インド料理と軒を連ねて行きます。対して、ローマは違います。多少はグローバルブランドのショップはあるもののその陰は極めて薄いのです。食事はイタリアンが主。朝も昼も夜もです。ちょっとしたファーストフードなんて街を歩いても簡単に見つけることは出来ません。自国の文化を貫き通すDNAがローマ人には宿っている。これがイタリアオヤジのファッションに更にエッジを効かせているのかも知れませんね。