Kaizen

2008年8月12日 火曜日

早嶋です。

先日、トヨタ自動車の人事部の方々とお話する機会がありまして、そのときに伺った内容を基にトヨタの強みについてコメントします。

KAIZEN
改善は既にビジネス用語として浸透していますね。意味は、「常に進化、確信を追及し、絶え間なく改善に取り組む」です。トヨタ自動車でのKAIZENは、大きく3つのテーマに分かれているようです。1)改善、改革の追及、2)リーンなシステムの構築、3)組織的学習の徹底です。

1)改善、改革の追及
改善、改革の追及は、「絶え間無い改善」「創意くふう、ベンチマーク」「ブレークスルーの追求、タブーの排除」が主な内容です。それぞれについて見ていきましょう。

「絶え間ない改善」
絶え間ない改善とは、一時の成功に安住しないで、より高い挑戦目標を掲げて絶え間ない改善を実施することだそうです。

実際、トヨタの人と話すと分かるのですが、「・・・・なるほど、素晴らしいですね」と話すと必ず、「いや、まだまだですよ」とかえってきます。絶え間ない改善は日常の会話にも染み入っていました。

「創意くふう、ベンチマーク」
常に智恵とくふうをこらすことの徹底です。誰の発案かに拘らず、卓越したアイデアを社内外に広く求めて研究すること、社内外との比較を通して自分の力を把握すること。創意くふうとベンチマークを一緒に行うことが素晴らしいと感じます。No.1でありながら、社内外から多くのことを学び取ろうとする謙虚な姿勢は、トヨタの方々と話をすると伝わってきます。

「ブレークスルーの追求、タブーの排除」
これは、前例やタブーに囚われずに不可能だと諦めない。そして創造的なアイデアによるブレークスルーを目指すことです。これに関しては、『何も変えないことが最も悪いこと(奥田碩氏:97年社長就任時のコメント)』という発言が有名ですね。

2)リーンなシステムの構築
リーンなシステムの構築は、「原価低減による利益追求」「ムリ、ムダ、ムラの排除」「後工程尊重、ジャストインタイム」「問題の顕在化、自動化」が主な内容です。それぞれについて見ていきましょう。

「原価低減による利益追求」
価格設定においては、マークアップ方式、いわゆるコストに利益を乗せて価格を決定する方法、競合他社との相対間で価格をつける方法、そして市場の値ごろ感で価格をつける方法の3つがあります。トヨタでは値ごろ感を更に一歩踏み込んだ価格設定を行っています。市場が売値を決める中で、最高の品質と効率を追求して、中長期的に原価を低減させることによって利益を生み出すことを目指しています。トヨタの方々が、製造業の利益は原価を低減してころ得られる。かかっただけの原価に利益を上乗せして値段を決定するような原価主義の考え方は縁がありません!と口をそろえて話されていました。

「ムリ、ムダ、ムラの排除」
これは、強烈でした。ずばり、付加価値を生まない活動や事象であるムリ、ムダ、ムラを徹底的に排除する!ということです。これはトヨタ創立時に豊田喜一郎氏がコメントした『一本のピンも其の働きは国家につながる。各自の業務に無駄あるべからず』の精神ですね。

「後工程尊重、ジャストインタイム」
全ての工程において、後工程をお客様とみなして、必要とされる質、内容のモノ、サービスを必要なタイミングで必要なだけ提供することです。ここは、云う易しですね。これに関しても豊田喜一郎氏のコメントに、『作業の手順や部分品や材料の授与において、時間の遊びを出来るだけ省略して行くものですが、これは全ての連絡の基本的信条としてジャストインタイムということを遵守してゆくつもりです。品物の授与において早すぎたり遅すぎたりしないようにするのが其の原則です。』が有名です。

「問題の顕在化、自動化」
ポイントは、現場に権限を与えていることだと思います。現場で判断可能な業務は、自立型ユニットを独立させ、権限委譲を行い、ユニット毎に問題の顕在化と対応の早期化を促進することです。この背景は、問題が管理監督者の知らない場所で繕われていてはいつまでたっても改善は進まないし原価も安くならない、です。異常があれば機械を止めるということは、問題を明らかにするということ。問題がはっきりすれば改善も進む。製造業において、機会をとめるとそのまま生産効率のダウンになります。しかし、根本的な原意をそのままにしては将来的な利益をついばむという、まさに原価低減による利益追求とリンクした行動です。

3)組織学習の徹底
組織学習の徹底は、「状況の共有化」「失敗からの学習」「成功の標準化・横展」が主な内容です。それぞれについて見ていきましょう。

「状況の共有」
状況の共有を行うときも目で見えるツールを活用して関係者間での状況認識の共有化と気づきを促進することです。

「失敗からの学習」
失敗を隠蔽せずに迅速に正し、個人的な過誤のみを責めないで常に構造的な問題を探し出して対策を打つことです。

「成功の標準化・横展」
成功のプロセスを標準として採用して、横展開し、組織内に定着するように努めることです。そして、外部に対してはデファクトスタンダード化を目指すのです。



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