早嶋です。
クリステンセンが示す破壊的イノベーション論は、ただ単にイノベーションを体系化しただけではなく、破壊的なイノベーションの構造やプロセス、企業が破壊的イノベーションに負けるパターンなどを明示しています。
資本の大きな企業では、このプロセスやパターンを活用することで有効に破壊的なイノベーションに打ち手を講ずることができるでしょう。その中でも彼が唱えている戦略の中で、状況ベースの思考、といものがあります。これは、破壊的なイノベーション戦略を構築する最初の一歩です。
状況ベースの思考とは、「顧客がモノを購入したり利用したりする状況を理解する」ことを考える事です。マーケティングで言うところの「顧客の困ったこと」に対して、クリステンセンは「用事」と定義しています。
顧客の生活の中には常に何か「用事」が発生して、その用事を達成しようとします。用事に気づいた顧客は、その用意を片付けるために上手い製品やサービスが何かないか探すでしょう。そして合致する製品やサービスがあればそれを利用する、つまり「雇う」のです。
クリステンセンが指摘する考え方は、顧客ニーズに合致する製品やサービスを提供するためには、顧客の属性でモノゴトを考えるのではなく、顧客が置かれている「片付けるべき用事」にフォーカスしよう!と言うものです。これが状況ベース思考です。
例えば携帯電話を例に状況ベースで考えて見ます。顧客が片付ける用事を『情報の送受信』と捉えたら、音声通話、メール機能、Webサイト閲覧、popメールの閲覧、ボイスメール機能、スケジュール管理などが必要になります。一方、顧客が片付ける用事を『暇つぶし』と捉えたら、ワンセグ、ゲーム、パソコンとの連動、音楽機能などが必要になります。
状況ベース思考で考えると、提供する製品、サービスが異なってきて、対象のニーズに合致したモノを提供できるようになる、といった発想です。