安藤です(国家資格1級キャリアコンサルティング技能士)
2016年4月に施行された改正職業能力開発促進法により、事業主による労働者の自律的なキャリア開発支援が義務化され、キャリアコンサルティングがキャリア開発支援の中核に位置づけられました。これを契機に、企業が人材戦略に基づき従業員の主体的なキャリア形成を支援する継続的な取り組みを指す「セルフキャリアドッグ」が導入されています。
キャリアコンサルタントの活動範囲は企業によって異なりますが、社員との1対1の個別面談を基本とし、キャリア開発に係る人事制度の整備やキャリア研修のプログラム開発、情報提供や宣伝活動、上司・経営者への介入など多岐にわたる活動をおこなっています。
キャリアコンサルタントの役割は、下記のことがあります。
①社員の自己理解の支援 ②社員のキャリアプラニングの支援 ③上司や職場への介入 ④経営者への情報提供と組織活性化の支援等です。
2020年に、下村英雄著「社会正義のキャリア支援」~個人の支援から個を取り巻く社会に広がる支援へ~が発行されました。
『個人の成長が、組織の成長につながる』「組織と個人の共生」をテーマに、“ワークエンゲージメント” “働きやすい職場づくり” “心理的安全性の必要性”などを投稿させていただいておりますが、故木村周先生が強調する「労働の人間化」が、社会正義のキャリア支援と直接関連していると書かれておりましたので、 その一部を引用いたします。
「労働の人間化は」は古い概念ですが、おもに1970年代にヨーロッパを中心に広がりを見せた国際的な動向で提唱された言葉です。労働の内容や質をより人間的にしようという運動で、当時のいいかたではME化(マイクロエレクトロニクス化)によって細分化された職務を、より人間的な労働に再編成することなどを議論していました。この時、労働の内容は次のような要件を備えなければならないとされました。
1.【変化】労働の内容に手応えがあること。単に忍耐をようするというだけでなく、適当な変化があること。
2.【学習】仕事から学ぶことがあること。継続的に妥当な量の学習があること
3.【自立性】自分で判断する余地があること。自分の責任で決められること。
4.【他人との協調関係】人間的なつながりがあること。同じ職場の人々が互いに他人を認め合う関係にあること。
5.【社会的意義】仕事に社会的意義があること。自分の労働と社会をつなげて考えらえること。
6.【成長】将来にとってプラスになること。何らかの意味で良き将来につながること。
「労働の人間化」の考え方は、現在の日本の職場環境、キャリア環境をより良いものにするために不可欠のものです。そのことが、離職防止、企業の成長につながることになると思います。昨今は、人事・労務の部署の方々がキャリアコンサルタントの資格を取得し、企業内キャリアコンサルタントとして活動されている方も増加傾向にあります。