デジタル化のベネフィット

2008年6月22日 日曜日

早嶋です。

ブログ「ノイズキャンセリングヘッドホン」では、従来のアナログの技術をデジタルで実現したSONYの製品について記しました。通常、アナログがデジタルになると、単に情報が0と1で処理されるという技術的な変化に加えて企業の競争にも様々な変化をもたらします。

例えば、0と1で様々な情報を処理できるようになると製品の境目がなくなります。ブラザー工業のミシンはデジタル化させることによって、PCで取り込んだ画像を指定の色で刺繍できる機能を開発してミシン業界にイノベーションを持ち込みました。これによって、周辺機器を提供する企業は必ずしもミシン業界に属していた企業である必要がなくなりました。

つまり、デジタル化によって、全く異なる業界がミシン分野に参入してくる可能性が考えられるのです。例えば、ミシンのデジタル化によってパソコンという汎用機器との接続が常になり、より高度な機能が実現できるようになりました。また、そのインターフェースの部分をメーカーが積極的に公開することで、デジタルミシンのソフト提供屋さんがサードベンダーとして誕生する可能性も考えられます。

電話がデジタル化されたことによって、i-modeが生まれ、これによってケータイ用のコンテンツを提供する派生企業が複数誕生したようにデジタル化によって業界の枠が取り壊されるのです。

ただし、デジタル化したからと言って直に普及するのか?といえばクエスチョンマークです。それはデジタル化が企業側の視点であって、顧客からすると、そのデジタル化によって明らかなベネフィットが得られていることが重要になるからです。

昨日のSONYのノイズキャンセリングヘッドホンは、デジタル化になったからといって、従来のアナログの機能との向上の違いが見えにくいです。

例えば、複写機などは、アナログからデジタルに変わったとき、コピーするという機能に関しては何らベネフィットに変化はありませんでした。しかし、デジタル化されたことにより、プリンターやスキャナー、ファックスなどの機能が複合され、家庭や小事業所には、1台あれば様々な使用方法を享受でき、かつスペースもぐっと小さくなりユーザーのベネフィットは確実に向上しました。

例えば、携帯電話がアナログからデジタルに変わったとき、通話の質に関して大きな変化はありませんでした。しかし、先に記したi-modeの誕生や電子マネー機能、ネットの接続機能などが充実してきてケータイ=便利な携帯情報端末となりユーザーのベネフィットは確実に向上しました。

技術志向が強い会社は「デジタル化になった!」という技術の変化のみに着目して、デジタルがすごい!などといった訴求がされ始めます。実際、SONYのMDR-NC500Dの訴求もそう感じます。もっと普及するのであれば、デジタル化によって、従来無かったどのようなベネフィットが向上するのかをきちんと訴求しないとBOSEの市場に食い込むことは難しいのではないでしょうか?



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