新規事業の旅51 新規創造の3つの方向性

2023年6月13日 火曜日

早嶋です。

一定の規模を持つ企業が新規事業を行う際、ゼロイチ、テ業務提携やマイノリティ出資、そしてM&Aの3つの手法がある。

そして資本政策を行う際は、1)ビジネスモデルを強化する出資もしくは投資、2)一定の分野を絞りロールアップする出資もしくは投資、3)顧客基盤や販売券を獲得する出資もしくは投資の3つの方向性がある。

上記は、どれが正解というものはない。自社の中長期の戦略や置かれた背景に即して、それぞれの手法を理解し、合せ技で行うのが良い。全ては戦略を実現する戦術なのだ。

1)ビジネスモデルを強化する出資もしくは投資
ゼロイチで事業を生み出す場合、殆どの場合がビジネスモデルがまだ確立していないか、不安定な状況になっている。どちらかと言えば先にプロダクトの開発をして、顧客や市場にフォーカスする動きが遅いからだ。また、ベータ版のプロダクトができるまでは利益を取らない先方といいながら、どの様なビジネスモデルにしようか思案中の状況の場合も多い。

その様な場合は、自社のビジネスモデルを強化する方向性での投資や出資先を探して、自社の事業とのシナジーを模索すると良い。

2)一定の分野を絞りロールアップする出資もしくは投資
一方で、その様な企業は既に既存の事業が成り立っており、一定のキャッシュフローが発生している。しかし、その事業は成熟か衰退を迎える局面であり良い状況とは言えない。

その様な場合は、既存の事業の顧客基盤を活用して更に伸ばす事業を開発し、あるいは出資先や投資先を伸ばす。自社の生産性を劇的に変える仕組みやノウハウにだ。このように既存の事業に対して周辺の事業を矢継ぎ早に結合していく手法はロールアップとも呼ばれる。

3)顧客基盤や販売券を獲得する出資もしくは投資
あるいは、事業によっては一部の市場や顧客層のみにリーチしている場合もある。国内の企業であれば九州、四国、本州、北海道等の明治時代の廃藩置県の名残を未だに残して商圏を確立している企業が多い。その場合は、顧客基盤を一気に増やす目的でM&Aや資本提携をしながら一気に売上を創るなどの方針は手堅く成功する。

既存の事業が将来のポートフォリオを不安視して新規を作る場合、ゼロイチをはじめて数年後にうまくいかず、M&Aを導入する。しかし同様にうまく行かない。そして提携や出資などの方法を知る。その間あっという間に10年の月日を経過することになる。この様な時間という最大の経営資源をロスしないために、この手のエリアは我々のようなその道のプロに相談して欲しい。

(過去の記事)
過去の「新規事業の旅」はこちらをクリックして参照ください。

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