早嶋です。
クリティカルシンキングに関して、What、Whyとそれぞれについてコメントしたので、今回は、Howについてです。
クリティカルシンキングの基本は、ずばり3つです。1)目的は何かを常に意識する、2)論点や考えるべきこと(イシュー)を踏まえたうえでフレームワーク(考える枠組み)を考える、そして3)おかれた状況で考える、です。
1)目的は何かを常に意識する
簡単なようで、意識しなければ抜けてしまう視点です。特に、分けが分からない状況になれば、「何が目的だっけ?」となることが多いと思います。そこで、「目的は何か?」を常に意識するように心がけるのです。
目的が不明確であったり曖昧であったりすると、本来の目的を見失うだけではなく、せっかく達成したゴールもあまり意味の無いものになってしまいます。
例えば、顧客満足度を調べて商品にフィードバックしよう!という目的で、満足度に関するアンケートを行うとします。どのようにアンケートを取るべきか?とあれやこれや議論しているうちに、アンケートを取ること自体が目的になる事が良くあります。「何のためのアンケートだっけ?」ゴールが明確であれば、全体を俯瞰した考えが出来るようになります。
会議が多い会社では、会議の中で何かを解決する事よりも、会議をした事実に満足して仕事をした気分に浸ることもあるかもしれません。大企業病と言われる背景も、各人が目的を明確に持っていないことが要因だと感じます。
2)イシューを踏まえたうえで考える枠組みを考える
目的を明確にした後、そのための細部を考えるフェーズです。目的が明確であれば方向性が明確になります、そして更にポイントを絞るために、どのような項目について考えればよいかの枠組み(フレーム)を考えます。
身近な例では、5W2Hがあります。何かのプロジェクトを実行しようと目的が定まったとします。では、何を明確にすると良いか?というときに、5W2Hを考えると思います。
Why(目的:なんのために行うのか?)
What(課題:何をどの程度するのか?)
Where(対象範囲:どこを対象範に行うのか?)
When(実現時期:いつからいつまでに行うのか?)
Who(実現体制:誰がどのような体制で行うのか?)
How(実現手段:どのような手段で行うのか?)
How much(必要費用:実現するためにはどの程度の費用が必要なのか?)
考える要素がマーケティングの項目であれば、有名なマーケティング・ミックス(4P)を考えると良いですし、市場分析を行うときは“>3Cを考えると良いかも知れません。状況に応じて、適切なフレームワークを探し出すと、非常にパワフルな思考が行えます。
もちろん、フレームワークは知っている事に越したことはありませんが、知らなくても作ることが出来ます。例えば、車を購入するとします。車を比較するときに、自分の中で比較する視点を作るのです。ブランド、価格、車幅や車高などのサイズ、色、排気量、などです。一度視点を設定したら、候補の車に関して、それぞれ視点を比較sるうだけでも随分と短時間で深い検討をする事が出来るでしょう。
闇雲にフレームを使うより、目的に応じてどのような視点で考えるのが良いか?と枠組みから考えていくのがポイントです。
3)おかれた状況で考える
最後は、自分の思考の癖を意識したり、相手の思考の癖を意識したりすることです。Whatの部分で記述しましたが、人は思考に関して何らかの癖を持っています。それは、過去の経験や学習、価値観によって形成されているものです。人間の進化の中で、毎回、論理的な思考をするよりも、自分の中にパターンを持って要領よく考えるためショートカットする癖かも知れません。この状況を見極めるのです。
例えば、ある人が、「円が安くなるからホンダの株を買おう!」と話しました。この発言を聞いた人は、頭の中で次のような展開を行いました。
1)円安⇒輸出品の価格競争力が向上⇒売上が上昇する
2)円安⇒自動車の売上も上昇する
3)ホンダ⇒自動車メーカー⇒ホンダの売上も上昇する
4)売上増⇒株価に反映して株価が上がる
5)ホンダも株価も上昇する⇒ホンダの株を買おう!
仮に、経済や株といった背景に知識が乏しい人と話をする場合、上記の内容をショートカットして「円が安くなるからホンダの株を買おう!」と話しても理解してもらえないですが、逆にある程度の知識のある人であれば、すぐ理解するでしょう。
自分と相手の置かれた状況に応じて柔軟に対応するとは、上記のようなミス・リーディングを減少することにもつながります。「自分の判断に影響を与えている価値観や環境、嗜好はどのようなモノがあるか?」自分に問いかけたり、他人に聞いて見たりして自分の癖を知ることで訓練する事が出来ると思います。
クリティカルシンキングのような思考は、これまでの日本の教育では皆無です。しかしながら、ビジネスシーンでは強力に力を発揮するツールです。是非、日ごろから意識して実につけて見てはいかがでしょうか?