多角化経営

2008年4月22日 火曜日

早嶋です。

みなさん、ヤマハ(YAMAHA)って聞いて何を思い浮かべますか?

音楽教室、ピアノ、楽器、ボート、バイク、ゴルフ、エンジン、自動車部品、高級家具、システムキッチン、ネットワーク機器・・・・。音楽やバイクのイメージが強いと思いますが、様々なことを考えたかと思います。多角化しすぎ?と思われたかも知れません。しかし、これ、全てにおいてつながっていると言うか、考えられたと言うか、辻褄が合っているのです。

ヤマハは、もともとピアノメーカーとして産声を上げています。1897年に日本楽器製造株式会社の名のもと、山葉寅楠氏によって創業。以来、ピアノメーカーとして技と経験を積んでいます。では、上記の分野に展開したつながりは何か?それぞれに見てみましょう。

まず、発動機。ヤマハ発動機は、ヤマハのグループ会社ですが05年にはヤマハの売上の2倍以上を稼いでいます。(近年は、買収対策のために株式の譲渡を調整しています。)

さて、ピアノと発動機、どのようなつながりがあったのか?これは、戦争が影響しています。ピアノの製作過程において木工加工が必要でした。実際、ヤマハには木工加工の高い技術が集積し、そこに目を付けた軍が当時、木製のプロペラを作成するように命じます。やがて木製のプロペラは金属性に変わり、その技術が発動機の母体となったのです。

木工加工の技術は、プロペラのみに留まらず、そのまま家具を作る技術にも活かされました。これは今日の高級システムキッチンや、車のダッシュボードなど高級自動車の木工パネルの事業の原点になります。

時代が前後しますが、半導体のつながりを見て見ましょう。これも楽器が大きく関係しています。1960年代当時、ピアノの需要は大きくなり始めますが、大きなピアノを家庭におけるスペースがありません。そこで、エレクトーンやシンセサイザーの原点となる電子ピアノの開発が進められたのです。これらの楽器は場所をとらないので爆発的な売上につながります。そうです、ここで電子技術やトランジスタといった技術力が蓄積され、今日の半導体技術の事業に結びついているのです。

携帯の音源に使われているMIDI規格もヤマハが規格制定企業と言うことで納得ですね。因みにこの半導体技術は、現在、ネットワーク機器(ルーターなど)、オーディオ機器といったAV・IT事業の礎になっています。

DSC00109ここまで読んで、でも何となくじゃない?と思われたかも知れません。しかし、上記の分野が意図的に展開されている事実が現在の多角化を作り上げたヤマハの4代目の言葉にあります。戦後すぐにアメリカを訪問した4代目、川上源一氏は次のように発言しています、「日本にエビキュロスを!」

エビキュロス、快楽主義VS禁欲主義でも似た言葉を書きましたが快楽主義者を意味します。4代目の源一氏は戦後の日本にレジャー産業が必ず必要になる!と感じたのです。そこで、既にあった技術を応用して、積極的にレジャー産業に乗り出したのです。つまり、ヤマハの事業ドメインが明確に音楽でも、バイクでもなく、レジャー産業となり多角化経営に乗り出した瞬間です。

ヤマハ発動機でエンジンを作るときの技術でFRPの技術がありました。レジャーという展開から、これを応用してアーチェリーを作ります。そして、同じ素材で適応できるスキー板などの製造も始めます。これも納得。

ボートや船外機も、発動機の技術を応用しているのは言うまでも無いですね。特に、スノーモービルやジェットスキーのようなマシンはまさにレジャーを代表する商品、他にもゴルフやゴルフそのものを楽しめる施設の運営やリゾート施設の運営もドメイン内の事業として展開されています。

こうして見ると、多角化されている事業全てにおいてレジャーという色があり、そしてヤマハの技術を上手く活用していることが分かります。多角化経営を成功するポイントがヤマハには沢山ちりばめられていますね。



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