◇プラットフォームで最強のオンラインゲーム
原田です。
最近、メタバース(仮想空間)という言葉が、ビジネス誌などでよく目にするようになりました。昨年はDX(デジタルトランスフォーメーション)が流行りましたが、今年はメタバースが流行りそうですね。
さてこのメタバース関連で私がとても注目しているのが、オンラインゲームの世界です。これからのWEB上、あるいはメタバース上のプラットフォームを制するのは、ハードでも、OSでも、SNSでもなく、オンラインゲームなのではないかと思います。
ゲームの何が強いか?それは、中毒性です。それは、1ユーザーのエネルギー、つまりは時間と集中度です。ユーザーが1日ぶっ通しで8時間くらい時間を費やすのはゲームしかありません。
そしてこのゲームの中毒性は、NFT(非代替性トークン)による暗号資産ととても相乗効果が高いと思います。
◇ゲームはドーパミン回路を乗っ取る
改めていうことではなくゲームは中毒性が高いです。ゲームは短期的に達成すべき課題が出されます。そして達成するとその喜びに浸るまもなく、また次の課題が提示されます。そして人はまた次のステージへ期待を抱きます。こうした課題→期待→達成→報酬のサイクルは、ユーザーに対してランダムに、そして飽きさせないように設計されています。一見くだらないことのように思えても、人間の脳のドーパミン回路はこうした期待される報酬に対して強く反応します。
こうしたゲームの世界に、人は1日8時間くらいは平気で没頭します。これだけ人間にエネルギーを出力させるメディアは他にないと思います。SNSでは1日を通して、画面に向き合っている人はいないでしょう。多くは隙間時間で、片手間程度にやっていると思います。一方でオンラインゲームは「ネトゲ廃人」という言葉が生まれるほど、中毒性が高いです。
◇「フォートナイト」の衝撃
現在、とても人気のある「フォートナイト」は世界で3億人のユーザーがいるそうです。一方でFacebookは20億人近くいるようですが、その中身が全く違います。多くの人はFacebookのサービスは便利だから、あるいは皆が使っているから、利用するものであって、ロイヤリティはないと思います。Facebook、インスタ、ツイッターなどSNSは無料で利用するのが基本です。一方、フォートナイトのユーザーはこのゲームに結構な金額を課金します。この課金システムも巧妙にできていますが、ここでは割愛します。
フォートナイトはユーザーが架空のキャラクターになります。そして100人で生き残りをかけてバトルを繰り広げます。このゲームは、単にユーザー参加型のオンラインゲームというだけではありません。そのコミュニティはすでにメタバースで考えられることをほぼ全て実現しています。
世界的な人気歌手がフォートナイト上で、つまりはバーチャルな空間で、ライブイベントを開催しています。イベントの参加は無料ですが、限定アイテムなどの販売が可能で経済効果は大きいです。とある歌手はアイテムの売上が22億円!だそうです。1230万人が集まったとか!
また、自分だけの専用空間を作り、他のユーザーを招待することもできます。この専用空間をディスプレイするオリジナルアイテムも課金されます。こうしたアイテムが結構な金額で取引されています。
◇ゲームへのロイヤリティ(忠誠度)は高い
ゲームはユーザーがその世界観に浸りっきりになります。その世界観を共有する他のユーザーもいて、交流があります。ユーザーは、その世界の中で自分の家を持ち、自分のアイテムを持ち、自分の物語を持っています。ユーザーが、この世界に投資したエネルギーは膨大なものです。結果として強固なロイヤリティが作られます。上述したフォートナイトを運営する米エピックゲームズ社は、プラットフォームの覇者Appleと、裁判で争いながらも、そのユーザー数を伸ばしています。
オンラインゲームがプラットフォームのメインになると考えるのは、このロイヤリティに対して大きな特典を与えらることです。
例えば、オンラインゲームを通じてクレジットカードを使ってショッピングをするとします。その場合、カードのポイントに1%、ゲームのポイントに2%の特典がつけば、ユーザーにとっての見返り3%はかなり高いです。こうしたポイントを発行できるのはオンラインゲームのプラットフォーマーです。このゲームのポイントは、実質的に原価が「タダ」です。ポイントで購入してもらうのは実質原価が「タダ」のキャラクターやアイテムです。
◇ゲームが新たなクリエイティブ活動になる?
自分がゲーム上で時間をかけて育てたキャラクターやアイテムが、もっと高い値段で売れるとしたらどうでしょうか?趣味で何十時間もかけてゲームで遊び、さらにはその結果が報酬になる。そんな夢のような話は、すでにオンラインゲーム上のメタバースで実現されています。
この夢を実現するのが暗号資産です。オンラインゲームでは、ユーザーが購入したネットワーク上の資産(期間限定アイテムなど)を転売することもあります。また将来的に、ユーザーがデザインしたオリジナルキャラクターの販売も考えれます。あるいはユーザーが制作したゲームのオリジナルステージの販売も考えれます。こうしたユーザーが何かしたクリエイティブな行為を行い、その結果をオンライン上で取引するためにNFT(非代替性トークン)の技術はこれから急速に広がっていくと思われます。
「小学生がなりたい職業ランキング」にYouTuberが現れたとき、結構な話題になりました。近い将来、オンラインゲーマーが現れても不思議ではありません。ゲームには世界で30億人の市場があると言われています。この数字はこれから更に伸びそうです。しかも、このユーザーの多くは結構な金額を使います。いわゆる富裕層もいます。潜在的な購買力はかなり高いと思います。しかも日本語の壁がありません!
◇将来のことはわからない
以上、オンラインゲームについて、ファミコン世代のオールドゲーマーが勝手に将来を予測してみました。この記事を書くために、古いゲーム機を引っ張り出して、フォートナイトをやってみましたが、全然ついていけませんでした。再度、挑戦しようと思います。
世界の流れは、現時点で、Microsoft、SONYといったグローバル企業がオンラインゲームの会社を買収しています。オンラインゲームのユーザー数は、これからも増えていくと予測されています。そして、ユーザーは、結構な金額をこのプラットフォームに使います。更には、NFTによる暗号資産の取引も活発になるということです。ユーザーの中には、世界中の富裕層もいます。百万円くらい平気で使いそうです。しかも言語の壁がないのです。大企業だけでなく、参加する個人ユーザーにも大きな可能性が開けています。
暗号資産の取引は、企業からユーザーへのBtoCだけでなく、ユーザー間のCtoCの取引を劇的に増やしていくと思います。
これまで非生産的であったゲームに費やすエネルギーが、何らかの経済行為へ転換されたとき、どのような変革が生まれるのかはわかりません。ただ、これから2、3年で大きな認識の変換がゲームに対して生まれると思います。
将来のプラットフォームを制するのは、あるいはビジネスのフロンティア(最前線)は、アニメのキャラクター達が戦うオンラインゲームの世界かもしれません。