早嶋です。
見かけの仕組みを良くしても、顧客の満足度はあがりません。
先日、ピアノを買いに行きました。電子ピアノです。諸事情から購入したくなり、妻が調べてとある店舗に在庫の確認連絡を。ネットで購入しても良いのですが、既存のピアノの代替で、今のピアノとは別の部屋に置く目的からキータッチを実機で確認したかったのです。
電話口に出たお店の方が、色々な質問をしてくれて、随分と沢山の情報を提供しました。そしてその日の午後にショップに来店することに。で、店舗に行くとその方は、別の仕事で不在。別の店員に状況を説明するものの、その電話の対応は全く店舗で共有されていません。店舗のスタッフは4名程度おり、人手が不足している状況でも有りません。
私の仮説ですが、店舗店員が情報共有していない理由は、個々のポイント稼ぎが背景にあると思います。自分が接客した方からの売上により、自分の成績が左右する。その場合、インセンティブは個人につくので、組織で対応することなく、自分の都合でモノゴトを考えがちです。
20年前のように、店舗来店と接客が大きな因果で売上に直結した次代もあったでしょう。でも現在は、ネット、SNS、来店、イベント、チラシ等、ありとあらゆるコンタクトポイントが存在しており、来店時には顧客が既に情報武装している場合も大いにあります。興味を持って調べている顧客に様々な角度から対応できる店舗スタッフもそうそういません。そう考えると店員が貢献する分量も20年前と大きく異なっています。
もちろん、ITを活用して個人のIDをベースに購買前と中、そして後の追跡をしている店舗は別でしょうが、多くの伝統的な店舗事業はまだまだそこのレベルにいきません。
しかし、多くの店舗事業は一部デジタルマーケティングを導入しており、店舗ではDX対応をしよう!と少なくとも掲げています。その場合、顧客の動線を鑑み、KPIとして店舗スタッフの売上に比重を置くことは無意味です。顧客が店舗に行った際の体験に不具合が生じるからです。むしろ店舗は来店した顧客が気持ちよく買い物体験をすることに集中すべきなのです。そうすると個人のKPIに接客した顧客の売上を設定することは愚の骨頂になるのです。
理想は、電話を受けたAと店舗で偶々接客をしたBが情報を連携して、顧客が望む接客をすることです。この理解がなければDXとかIT機器に投資をしても、顧客体験が高まるどころか低下をまねきます。
今の組織や評価軸は10年以上前の仕組みを脈絡と受け継いで見直しをしてない場合、今の戦略に対して大きなギャップがあることを認識して整備し直すことをおすすめします。