割引率の話

2008年1月24日 木曜日

早嶋です。

ファイナンスの理論に、「今日の1万円は、明日の1万円よりも価値がある」と言うのがあります。これは感覚的に、理解できると思います。例えば、消費志向の人は明日お金をもらうよりも、今もらったほうが早く買い物ができるでしょう。例えば、すばらしい投資機会を見つけた人は今すぐお金をもらって、投資をしたいと考えるでしょう。

では、今日の1万円は、明日の1万円よりも価値があるのであれば、どのくらい価値があるのでしょうか?これを算出するときに割り引くという考え方があります。例えば、国債を例に考えてみます。国債は国が破綻しない限り100%確実に利回りを得られる商品です。この意味でリスクが無い(リスクフリー)の商品と考えることができます。

仮に国債の利回りが年利2%だとします(国債の期間は5年間などですが、便宜的に設定しました。)。今日1万円で国債を買ったら1年後には1万200円になるということです。これを基本に考えると

 今日の1万円 = 1年後の1万200円

となります。(詳細は現在価値を参照下さい。)そして、1年後の1万200円を今日の1万円に戻すときに2%という数字を利用します。この率のことを割引率といいます。

では、割引率は常に2%、つまりリスクフリーレートなのか?というと決してそうではありません。企業の投資判断をする際に正味現在価値を算出するときなどは、リスクの度合いや期間に応じて割引率を設定します。実際のプロジェクトは思ったとおりに行かない、つまりリスク(期待した結果にばらつきがある)があるのです。そのため、リスクの程度によって割引率を大きくする必要があるのです。

ただし、割引率に正解は無いので、実務では割引率の変化によってどのように正味現在価値が変化するか?など感度分析を行います。



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