早嶋です。
本日は、プラネット主催の歯科医師向けのマーケティングセミナーでした。セミナー終了後、参加していただいたドクターの方々とお食事をしてきました。どうも、お疲れ様です。
エナジースターをご存知ですか?きっと何処かで見たことがあるロゴだと思います。例えば、デスクトップパソコンを起動するときなど。
1992年、米国環境保護庁は、自らの手でエナジースターというブランドを創出しました。目的は、エネルギー効率のよい商品を全国に普及させること。エナジースターのラベルがはられた最初の製品はコンピュータとモニタでした。今では、家庭や職場で利用される40種類以上の製品カテゴリーで採用されています。
普及当時、エナジースターのラベルを貼った製品を消費者が進んで買い求める気運は当然ありません。そこで、環境保護庁はメーカーに対して省エネ製品を製造し、エナジースターのラベルを使用するように働きかけました。企業は、徐々にエナジースターのラベルを製品にはるようになりますが、大きな課題がありました。
それは、「どのように消費者に省エネ製品に関心を持たせ、これを買わせるか?」です。当時は、家庭電化製品で消費しているエネルギーが大気汚染や温室効果ガス排出の原因になっていることを考える消費者は皆無でした。そこで、環境保護庁は、省エネ教育をエナジースターのブランディングを通して実行したのです。
先ずはターゲティングを明確にします。環境に関心があり、かつ、光熱費を節約したい消費者に的を絞ることからはじめました。具体的には、大卒以上で平均所得以上の25歳~54歳で光熱費がかさむ地域(季節によって非常に暑いか寒いか)に住む人です。それから、当時、ほとんどの人が家庭でのエネルギー消費と大気汚染の関係を理解していないという仮説から、「エナジースター・ラベルの製品を買えば、節約しつつ環境保護にも貢献できます!」というメッセージを発信しました。
プロモーションの中心はパブリシティです。各製品市場に対してマスコミを招待して取材させるメディアツアーを企画し、エナジースターの担当者が広報誌を配り、実際の消費者がエナジースター・ラベルの製品を使用する事による家計節約について説明をしました。今で言うCGMに相当します。
このような活動を行いながら、ブランド・コミュニケーションを継続した結果、環境保護庁は確実にエナジースターのブランドを構築したのです。公共機関がブランドを利用して、自身の活動を行いやすくした非常に良い事例だと思います。
エナジースターのコミュニケーション・マナージャーのジル・エーベルソン氏は次のようにコメントしています。「エナジースターはブランドとして成功した。効率的なテクノロジーの実践と普及を促進するブランドとして広く浸透したからだ。それは、私たちの地道な活動の価値を認めてくれた消費者と産業界のおかげである。しかしながら、人々や時代が求めているものは、一夜にして成り立つものではない。産業界のパートナーとの忍耐強く、ひたむきな取り組み、周到に準備されたプログラム、休みなく進化させたブランド・コミュニケーションの賜物です。」と。
ブランディングは、民間であれ、公共機関であれ、関係なく重要な活動なのです。