原です。
今回は、第2段階の顧客モニターマーケティング調査(テキスト分析)を事例により解説します。
事例内容は、前項の第1段階顧客マーティング調査で実施した中堅小売業者の料理スクールビジネス調査です。新規顧客の集客に向けたニーズ把握を目的に、1回目調査結果を参考に2回目調査に取り組みました。
2回目顧客モニター5名は、1回目調査と同様に安心安全の食材や料理に興味がある方を新規に募集したところ、20代大学生とOL、40代パートの全て女性が集まりました。1回目と同様な顧客モニターが集まった事実から考えられることは、20代から40代の女性は、安心安全の食材や料理に関心が高いことが考察できます。また、1回目調査時に子育て中のママは、「幼児と一緒に参加できる環境があれば、もっと子育て中のママは参加しやすくなる。そうでなければ、参加の意欲があっても参加できない」と話されました。
モニター体験とグループインタビューは、以下の「1回目調査と異なる点」以外は1回目調査と同様の内容で実施しました。
■1回目調査と異なる点
・1回目調査結果による短期的な改善策「料理体験での作業の役割分担、流れが明確で円滑なイベント進行」についてもモニター体験とグループインタビューにより調査しました。
以下に、1回目グループインタビューからのテキスト分析を説明します。
(1)主な語の出現回数
グループインタビューよる発言キーワードからは、「考える」、「思う」といったワードの出現回数が多い。次いで、「時間」、「必要」、「レシピ」、「説明」、「友人」が多く、新サービスのことを話すうえで、これらの語にグループインタビューに参加したモニターの関心が高い。
※(1)主な語の出現回数
(2)共起ネットワーク
共起ネットワークからは、「清潔」、「交通」、「必要」、「ホワイトボード」、「健康」、「ビューティ」などの単語と共起しているグループの存在が確認されます。
(共起ネットワークのグループごとの解釈)
※(2)共起ネットワーク
(3)テキスト分析からの課題と提案内容
①「清潔」、「明るい」が共起されており、イベント会場の評価は高い。
②「交通」「便」、「場所」「遠い」などが共起されているグループがあり、交通アクセスへの配慮が必要。
上記①と②の課題から、以下の「会場の評価・留意点」について提案
・高評価を得ている清潔感を感じさせる雰囲気を引き続き重視した運営
・交通アクセスの確保(アクセスしやすい人、またはアクセスを気にしない人を対象としたイベント開催)
③「必要」「考える」「レシピ」「説明」が共起されており、参加者が考える時間の配分、説明内容やレシピ提供の順番などの改善が求められる。
④「ホワイトボード」「多い」「分かる」が共起されており、情情報を絞り込んだわかりやすいホワイトボードの使い方が求められている
上記③と④の課題から、以下の「イベント進行の改善」について提案
・「参加者が考える時間」を考慮した進行の時間配分
・レシピの配布のタイミング
・ホワイトボードの使い方(提供する情報の絞り込み)
⑤「健康」「友人」などが共起されており、健康志向の人にお勧めと評価
⑥「ビューティ」「企画」が共起されており、美に関心がある人向けと評価
⑦「自分」「野菜」「選べる」、「組み合わせる」「作れる」が共起されており、野菜が選べ、組み合わせて作れることは好評
上記⑤から⑦までの課題から、以下の「ターゲットを絞った企画作成」について提案
・多様な人をターゲットとしているため説明量が多くなり、適切な時間配分ができていない可能性あり
・対象を絞り込み、ターゲットにあった情報提供、スムージーの材料選択、効果的な時間配分を検討
・参加者が自身の食生活を振り返り、理想の食事を考える機会を提供
以上、1回と2回の合計10名による顧客モニター調査により、課題発見と解決策への提案に取り組みました。