調査会社に委託すればお金がかかる

2019年5月26日 日曜日

原です。

調査会社に委託すればお金がかかるからと顧客の声を聞くことを諦めている企業があります。
あるいは、企業が自社内で社員にインタビューすることもあります。効果は、社内の人に関心を持ってもらえるメリットがあります。しかし、企業担当者自らのインタビューは、インタビュー内容の客観性が薄くなるなどのリスクがあります。

そのようなことから、多くの企業で行われている製品開発や商品販売にあたってのインタビュー調査は、調査会社が請け負って実施することが主流だと思います。
製品開発の投資が大きければ大きいほど、外部のプロに任せたほうが安心、手間が省けるなどのメリットがあります。ただし、当然のことながら費用がかかります。
グループインタビューを頼むと、概ね1グループ50万前後かそれ以上かかることが一般的です。商品数やグループ数を増やしていけば、数百万円になることもあります。
マーケティング調査は労力がかかる仕事なので、これくらいの費用がかかってしまうことは仕方ありません。とはいえ、中小企業では、気軽に実施できる金額とは言えないでしょう。大企業でも何度も実施ということは難しいでしょう。
しかし、費用がかかるからとはいえ、事前に顧客情報を把握せずに製品開発などを進めることは、結果的に非効率と言えます。
顧客の声を聞かないのはもったいないだけでなく、思わぬ失敗を防ぐ意味でも重要です。

例えば、厳選素材を活用したジェラート加工会社のケースです。
地域の農家との契約により厳選された素材を強みにジェラートを製造しています。無着色・無香料で味も美味しくて好評です。
当然、こだわりの製造による手間と厳選素材による高コストから、価格も高めに設定することが必要です。
高価格帯のアイスクリームやジェラート商品との競合に対抗するために、高級感あるパッケージとバラエティある商品を目指し商品数も年々増えていました。しかし、競合はブランド力もあり、価格を下げないと売れないという思いこみから、価格を下げた薄利の苦しい経営状態を続けていました。
また、価格を下げるだけでは知名度が高まらないと販売促進費にも少ない利益から支出していました。
このような中、弊社はマーケティング調査を依頼されました。
グループインタビューでは、厳選素材と手間かけた加工は好評でした。
しかし、「デザインは高級感があるけど、他社のブランド商品に似ているだけでオリジナルティがない。厳選素材使用のイメージが伝わってこない。着色・香料の商品は、企業イメージを下げブランド化につながらない。販促ツールは立派に作成されているけど、コンセプトが伝わってこない。」などでした。
分析結果を経営者に伝えてところ、経営者は驚いていました。
経営者は、「製造仲間とは、パッケージは高級感があるからと自信を持っていた。
商品も無着色・無香料の厳選素材だけでは売れないとブランド商品に似た商品を増やしていた。今回の分析結果を聞いて、自分達が間違った方向に向かっていることに気づきました。
自分達の強みは何かを再認識し、他社の模倣ではなく、コンセプトに自信を持ち、原点に戻り商品を改良していく。」と話されました。

売れないからと価格を下げ、オリジナルティのないパッケージにコストをかけ、意味なく商品数を増やすことで製造コストをかけ、オリジナルティのない販促ツールにコストをかけても、苦しい結果になるだけです。
こうした思いこみを取り払うためにも、後々不要なコストをかけないためにも、事前にコストをかけてでもインタビュー調査をすることをお勧めします。
どうしても、インタビュー調査にお金をかけることができない場合は、企業の実務担当者が自らインタビューすることもあります。効果は、顧客の感覚をダイレクトに感じることぐらいはできます。



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