早嶋です。
郵政3社の東証一部上場が間近に迫っている。日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の3社だ。小泉元首相の郵政民営化の過ぎなるステップとなる。が、自由競争に出て行くことを考えると、幾つもの疑問が出てくる。
■日本郵政。
この会社はゆうちょ銀行とかんぽ生命の完全子会社ということが最大の懸念。郵便事業が赤字でも、郵貯とかんぽが黒字であればそれで成り立っていた。実際、郵貯と簡保から窓口使用料として1兆円近くのお金を受け取っている。当然、子会社が同等に同じ市場に上場すると、より有利な窓口に提供することになるので、この1兆円のお金は日本郵政からすると予算化できるはずがない。
参照_日本郵政の金融窓口事業:http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS06651/927f2abf/7203/4d5e/97af/aa3ade194876/140120151102434451.pdf
■かんぽ生命
15年3月期の保険収入料をみると第一生命や日本生命を上回りダントツトップです。背景は全国にある郵便局の販売チャネル。かんぽ生命がそもそも売れた背景は、民間ではない国営の簡保というポジションがあるからだと思う。パンフレットを郵便局において販売が今後も伸びるとは到底考えにくい。上場は成長シナリオあって意味があるものだが、現時点でこちらのシナリオが見えにくい。
参照_かんぽ生命の決算:http://www.jp-life.japanpost.jp/aboutus/disclosure/pdf/2013/05_p027_p040.pdf
■ゆうちょ銀行
15年3月末の貯金残高はぶっちぎりの176兆円。メガバンクトップの三菱東京UFJでも144兆円なので圧倒的だ。しかし銀行は、貸出をして利益を得てなんぼの商売。ゆうちょ銀行は銀行の3つの機能のうち、預金と決済が中心で、貸出機能を持っていない。ということはゆうちょ銀行の主機能に、相手を審査する機能が皆無となる。これまでは国の信用で集まったお金でひたすら日本の国債を買うという流れを組んでいたのが背景だ。
ただ、国内の銀行は現在、お金を預けたとてごくごくわずかな金利しかもらえないので、貸出による差が見えにくい状況になっているのも事実でしょう。また、今後の考えから皆が右に倣えで銀行にお金を預ける文化もなくなれば、いよいよ貸出機能の差が大きく出てくることになるだろう。
参照_ゆうちょ銀行貯金残高:http://www.jp-bank.japanpost.jp/aboutus/financial/pdf/kessan201403_hosoku.pdf
参照_三菱東京UFJ銀行貯金残高:http://www.mufg.jp/ir/presentation/backnumber/pdf/slides150228.pdf