アンバサダーマーケティング

2014年3月25日 火曜日

早嶋です。

アンバサダーという言葉がマーケティングの世界に浸透している。元祖はロブ・フュジェッタ氏の著書、アンバサダー・マーケティングから来ている。サントリーのアンバサダー制度やネスレのアンバサダーなど、言葉は知らずとも、何となくその体験に触れていることでしょう。

例えば、企業の商品を熟知していて、熱烈なファンで、影響力があるヒトは、企業からお金をもらわなくとも、その商品の良さを周囲に発信していたでしょう。かつては、ロイヤルカスタマーという言葉やファンという言葉で語られていました。こちらとの違いは、企業が明確にPRの手段として活用することを目論んでいることです。

従来のロイヤルカスタマーやファンは、
◯リピート購買をする
◯浮気をしない
◯大量に買う
◯顧客を紹介してくれる
◯強烈にその商品を愛している
でした。

が、アンバサダーはこれに加えて、
◯商品に対しての正しい理解
◯周囲への盈虚力を持った人々
◯自ら発信力を持つ
と定義することが出来るでしょう。

ある時期、ステマ(ステルスマーケティング)という言葉が流行りステバレした企業は急激にロイヤリティが落ちて行きました。ステマとは、上記の定義の中で強烈にその商品を愛しているわけではないが、上記の一部を持った人々、特に周囲への発信力と影響力を持ったヒトに対して、企業が秘密裏にお金をまいて、宣伝をしてもらった手法です。

ですが、これがそもそも嫌われるというのがおかしな話ですよね。企業はありとあらゆる手法を浸かって広告をして、商品を買ってもらうように活動しているのですから。しかしきっとこの背景には、広告媒体がかつての4大媒体からWebやブログやSNSに移行していった背景があると思います。従来のテレビ、新聞、雑誌、ラジオは明らかに企業がお金を払っているということを前提に広告されていました。従って騙されている感覚はない。しかし、ブログやSNSやWebなどは、匠に消費者があたかも自分から自発的にPRしてくれているようにしている。が、実際はその発信者が多大な利益を得ている。というところに騙された感を持ち、ステバレした後に、急にロイヤリティが激減するのでしょう。

この背景には、日本がそもそも成熟して、皆の平均的な暮らしが徐々に低下していて、お金に対しての執着が実際はあるのに、頑張ってもリターンがないことであきらめている。という背景があるのではないでしょうか。従って、露骨に利益を得る人々に対しても嫌悪感を持つようになる。皆が成長していて、一定の仕事に対してそれ以上のリターンがあった時には、そのような嫌悪感はわかなかったと思います。

また、本当にその企業が好きで、金銭的な対価を得ないで活動していたヒトにとっては嬉しい限りです。彼ら彼女らは純粋にその商品が好きで、だからこそ勝手にファンを増やしてきたのですから。企業としては、そのような方々に対して経済的な価値を提供するのではなく、承認や評価、信用や信頼をあたえることで、つまりもっと社会的な価値を提供することで、彼らを組織化することができる。これがアンバサダーマーケティングのベースになります。

従って、企業としては、そもそも以下の素養がなければ、そのような強烈なアンバサダーは育たないことを理解すべきです。
つまり、
◯そもそも最高の商品だと顧客から認知されているものを持っている、或いは提供できること
◯更に、記憶に残る体験や感情の提供を日常的に継続的におこなえること
◯そして、悪意のない対応をして、社会的に意義のある活動に対するコストをケチらないこと
◯何よりもミッションオリエントな会社で、顧客に共感をもたれる組織体制であること
です。

上記のような企業は自然とロイヤリティが高まり、自然と発信したくなるのです。

意図的に一時的に単発的に見せかけのアンバサダー制度を浸かってWebやSNSやブログを騒がせても、結局は商品の購買につながらない。或いはつながっても継続的な売上に貢献しない。という結末になるでしょう。やはり、一発勝負の仕掛けは存在するものではなく、きっちりとした仕掛けを長年かけて創り、さらに状況に併せて対応している企業が結果的に顧客からも支持されるのでしょうね。



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