早嶋です。
先日のニュースステーションで放映された中小企業のM&A特集。その中で夏に強い鰻の会社が冬に強いフグの会社に資本を入れた事例がありました。異業種といわれる分野が手をとりあってビジネスを互いに補強していく、素晴らしい事例でしたね。
世の中が冷え込み始めて、バスでの長距離移動の需要が高まっています。といっても1970年台のバスの移動は年間100億人程度で、現在は半分の50億人まで縮小しています。バス以外に鉄道や飛行機、自家用車が普及したことが背景にあるでしょう。
バス移動の需要が高まっている分野は長距離移動です。バス業界は長らく規制に守られた業界だったためこれまでは競争が起きにくい環境でした。しかし、長距離移動を短期的な旅行と捉えることで従来の高速乗合バス事業者に加え、高速ツアーバス会社の参入が始まったのです。
高速乗り合いバス事業者が従来からあったバス会社だとすると、高速ツアーバス会社は新しく、旅行会社などが参入しています。A地点からB地点までの移動をオプション、宿泊など何も無い旅行と捉えて長距離の移動を提供する。従って、ツアーの範囲内なのでバス停で乗降させなくても、任意の場所での乗降が認められました。
となると当然ながら規制のない世界ですので参入が一気に加速し、競争が激化します。報道では、コンプライアンスの欠如から利益至上主義的な発想の会社が多いイメージがありますが、多くの会社は旧態依然としていたバス業界にイノベーションを起こすことに寄与しました。
競争が起こるとバスのセグメントが細かくわれてきます。バスセンターをホテルのようにする会社、これは従来のように2地点の移動と捉えるのではなく、快適をセグメントに加えた結果です。従って、チェックインする場も飛行機会社のカウンターのようにラグジャリーな雰囲気をもたせた会社もあります。また、バスの中身をエコノミー、ビジネス、ファーストというようにランクを分けた会社も出て来ました。また、バスの移動中のサービスも各社様々に工夫をしています。
バス業界のオープンイノベーションの中に、RM(レベニューマネジメント)の概念も導入されました。これは、飛行機会社やホテル業界では定着しているマネジメント手法です。顧客セグメントに応じて需要が異なる。ならばその需要の変化に応じて柔軟に価格の調整や路線やサービスを最適化しながら収益を最大化する発想です。
例えば、高速乗合バスにとって収益を最大化するために、バスの保有台数をピーク時に合わせると、閑散期はバスが遊んで収益を生むことはありません。そこで何か工夫ができないか?という発想です。ここに異業種が参入したことで、面白い資本関係が生まれます。
異業種が展開している高速ツアーバス会社と既存のバス会社だった貸切バス会社が手を組んだのです。高速ツアーバスの繁忙期は正月や盆などヒトが一気に動く時期。一方、貸切バス会社の繁忙期は通常の平日です。RMの発想を考えると2社がガッチャンコされるとバスの運用をうまく調整できるのではということです。
繁忙期と閑散期を1日で捉えると、朝夕のラッシュにあわせてバスの保有台数を決めるため、昼間はガラガラのバスを走らせているバス会社は多いです。昼は顧客がいないのでバスを減らせば良いのに、とおもいますが、朝夕のピークにあわせて雇用しているため、走らせない間は人材を遊ばせることになる。だったら運行したほうが良いという発想で運行しているのです。
ここもRMの発想をもたせると、昼の時間帯に人出が足りなくなる業界と手を組む発想は出てくると思います。例えばその相手は、ビルの清掃業や事務作業の外注請負いやGMSの地域巡回バスなどです。朝夕のピークはバスの運転をして、昼は間引き運転をする。その間、空いた人材はバスの運転以外の業務について人件費を捻出するのです。
従来、同業種の中で競争を行なっていましたが、その範囲を超えて、競争から共創する発想で互いを補完することができないのか?という視点です。鰻とフグがコンビを組めるのであれば、他にも可能性は無限に広がると思います。
冬場はスキー場、夏場は海の家なんていう人材の使い方もできそうですね
他にもたくさんありそうなので、
経営の効率化のため、遊休資産をうまくつかうというのは一つのかんがえかたではないでしょうか