MD(マーチャンダイジング)は、どちらかと言えば商業の場で実用的な言葉として使われます。百貨店などでは、MDは仕入れ、販売、管理などの業務フローの一連の流れを表します。また、経営マネジメントそのものと捉える場合もあります。メーカーで製造された製品(Product)は、小売業で扱われるとマーチャンダイズ(Merchandise)に呼称が変わります。面白いですね。
近年クロスMDなる表現を良く聞きます。メーカーが違っても互いに補完する商品であれば共同で販促活動を行う概念です。古典的な事例では、夏にお肉売り場に木炭やバーベキューセットを置く、自転車売り場に、鍵やアクセサリーを展開する、ジョギングコーナーにウェアやシューズに加えて、時計を展示する、等々です。
アサヒビールとエバラ食品工業は共同の販促活動を展開しています。商材はビールと焼き肉のたれ。両社は2009年からクロスMDを展開しています。当初は2000店舗規模が、2010年に2800店規模に、2011年は4000店規模を計画していましたが、震災の影響で2000店規模に縮小。そして2012年は5000店規模で展開します。
スーパードライと黄金の味やエバラ具だくさんなどの調味料を一体的に販促活動していきます。催事スペース、酒や調味料売り場、精肉や野菜売り場などに展開します。また、夫々の売り場ではボード等を使ってレシピや食べ方の提案を積極的に行っています。両社は震災以降ますます強くなった内食化の傾向を追い風と見ているのでしょう。
一つの企業が独自に販促展開するよりも、補完する商品やサービスを提供する企業がタッグを組み、アサヒとエバラの用に共同で販促活動をする動き、今後ますます増えて行くでしょう。
ビールは大手数社の寡占で、勢力バランスが取れてます。一方、食品産業は、焼肉のタレは数社ですが、例えばおつまみや菓子、漬物、惣菜などは、多数の零細企業があります。その多数の零細企業が、ビール各社の陣営に付く、という流れですね。ブロック化が進みそうですね。
ビール大手も、流通業がPBを出し始めて脅威と感じている!ということもありますね。大きな変化です。