視点

2011年11月28日 月曜日

突然ですが、魚の絵を描いてください。30秒くらいです。

おそらく、書き上げた絵の魚の多くは左を向いていることでしょう。魚の向きを意識したら、右向きだって正面からだって下からだって、あらゆる魚がイメージできると思います。しかし、何も意識しなかったら魚は左向きのまま。小さい時から、図鑑や教科書で見てきた魚の殆どが左向き。お魚屋さんでも左向きが多く、お皿の上だって左を向いています。無意識に魚の向きが刷り込まれているかも知れません。

よくコンサルをする時に、社長さんや経営者の皆様から、うちの業界は特殊だっていう話を聞きます。シザールのコンサルは基本業界に特化していません。従って、実に様々な業界や経営者から同じような表現を耳にしてきます。そして一言。その特殊な業界を作っているのは、業界の人たちですよと。

ヒトはどうやら考える時に、何か枠を作りたがるようです。そしてその枠の中でじっくりと考えを張り巡らせる。大切なことは、意識的に枠を作っているワケではなく無意識に内に作っているということ。脳みそは、思考の省エネモードに入っているのでしょう。全てをゼロから毎回考えるのは実にカロリーを消費する作業になります。従って、過去に経験したり、学習したりした内容をベースに、今起きていることをあたかも同じかのように勘違いして考える傾向があるようです。

これは繰り返しの作業や過去と全く変わらない作業においては極めて有効でしょう。しかし、今のように答えの無い世界に対しての思考としてはやや不適格かも知れません。そんな時は、魚の向きは色々ある、ということを意識することが有効だと思います。これは思考においての視点です。業界に特化した思考を持っていると意識することによって、業界外の事例を研究する意識が働きます。これも視点だと思います。

高校とか大学で幾何学を学んでいるとき、一見難しそうな問題も一本の補助線を引くことで、モノの見方が変わり、急に解へのアプローチが明確になった体験を何度も行いました。これまで何の関係もないと思われていた事象が結びつき、水がこんこんと湧き出るように頭が回転し始めます。この補助線も視点です。

頭はうまくできているようでうまくできていない。その癖を意識することによって、意図的に無駄な思考をすることが出来るようになります。この無駄な思考はきっと、新しいことを考える上ではとても役に立つと思います。そして、何事も自分の興味のある分野に結びつけて考える。

ニュートンはリンゴが落ちるのを見て万有引力の法則を導いたと言われます。月が回っていることと、リンゴが落ちること。これらを結びつけて考える。普段から相当意識して考えあぐねいた結果でしょう。大切なことは常に、何の関係もないことを自分の興味に結びつけて考えることだと思います。

視点の在り方で全てが変わる。僕は良くそう考えます。



コメント / トラックバック2件

  1. ぐるぐる より:

    魚のたとえ、いいですね。セミナーなどの導入にぴったりです。思考の枠とか、補助線とか、ニュートンのリンゴの話とか。大切なことが、非常にすんなり入ってきます。
    オーストラリアでは南北が、天地逆の世界地図が売っているんですってね。これも、面白いなぁ。

  2. biznavi より:

    地図の話もいいですね!

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