中小企業の差別優位って

2011年5月18日 水曜日

マイケル・ポーター。こっちの世界の人だったら誰でも知っている超すごい人です。ハーバード・ビジネス・スクールの歴代教授のなかでも有名なひとりで、彼はずっと競争戦略について説いています。名著の競争戦略論(ダイヤモンド社)では品質と顧客心理をついて企業の差別化について論じています。

かれの主張は業務効率と戦略的なポジショニングです。

差別化を行う際に、業務効率を徹底的に良くするということは、結局、敵とみなしている企業も同様の事を行うことになります。つまり、敵よりもちょっと要領がいいね!というだけになるのです。これは、短期的には差別化要因になり得るでしょうが、長期的なWinにつながらないよ!という意味です。企業が互いをベンチマークして業務面での効率化を測れば、最終的には内部のオペレーションが似たようなモノになり、どの企業も同じようになってしまうのです。

そこで、企業は敵とまったく異なるポジションを取ることが大切!と唱えています。これは敵を模倣することではなく、敵と違うことをすることです。例えば、業務効率の改善とはフルマラソンで他の選手よりも速く走る事を意味します。しかし、戦略とはそもそも土俵をずらすことで、マラソンにでないでトレイルランニングに出て、自分が勝てるレース展開を図ることなのです。

というのは大企業の話だと思います。中小企業は、まだまだなんとか成り立っているレベルが多いので、敵と半歩の違いを出すために、徹底的なポジショニングを取る前に、まずは自社の業務改善をトコトン行うことで、同業他社よりも効率的な利益を稼げるようになると想います。まだまだ、それぞれがなんとなくビジネスを行っており、仕組みを構築して利益を上げるモデルにまで至っていないからです。

そのために行う第一歩、それは自社の業務を見えるようにすることです。例えば、企業にフォーカスするならば自社のサプライチェーンを整理して、クライアントに価値を提供するまでの一連の流れであるバリューチェーンを整理するのです。その中で、無駄だとおもうこと、なぜか効率があがっていないと思うこと、逆に誰がみても効率的に出来ているところを抽出します。中小企業ですので、全てのチェーンを自前で行う必要がない部分は思い切ってアウトソーズして良いかも知れません。逆に、一部をおこなっていて、それが逆に業務効率を著しく低下させている場合は、フルに展開してもいいかも知れません。

このように仕組みという視点を持ち、自社の利益を上げるまでの一連の流れを整理することによって、どうして企業は利益を挙げているのだろうか?という単純な質問を徹底的に考えて、さらに効率を上げていく活動を徹底的に行うのです。中小企業が行ってる品質改善は、商品の一部に過ぎません。この活動を業務、全体の視野を広げて行って見るのです。



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