プラットフォーム。大前さんが2001年にこの概念をビジネスにあてはめて提唱、その後多くのビジネスモデルがプラットフォーム戦略をベースに成功を収めています。
プラットフォームは、
1)多くの関係するグループを場に載せ、
2)マッチングや集客などさまざまな機能を提供し、
3)検索や広告のコストを減らし、
4)口コミなどの外部ネットワーク効果を創造する
ことで、新しい事業のシステムを構築する戦略です。
例えば、レコードレーベル各社は、ネットにおける音楽配信をアップルが提供するアイ・チューンを利用しています。そのためアップルは今や米国のウォルマートストアーズを抜いて全米で最大の楽曲販売大手になりました。まさにプラットフォームの勝利です。
日本でも成功している企業があります。楽天です。楽天はネット上でお買い物をする際の仕組みをユーザーに気軽に提供する仕組みを構築してプラットフォームを構築しました。
プラットフォームは次のような機能を持ちます。
1)マッチング機能
場の存在によって、需要と供給を欲する個人や組織を結び付ける機能です。または場の存在によって交流を促進させる機能です。楽天は売りたい人と買いたい人を結び付けていますし、ウィンドウズはあらゆるソフトウェアとそれを利用したい人を結び付けています。
2)コスト削減機能
プラットフォームを利用する事で、これまで個人や組織が個別に対応していた内容をプラットフォームが対応するため、時間やコストを削減します。規模の経済に近いニュアンスです。
3)ブランディング・集客機能
プラットフォームの上に形成する事によって、ユーザがある種の安心感を得たり、ユーザーにブランドを提供する事ができます。その結果、品質を一定レベル以上に担保することも可能です。
4)コミュニティー形成による外部ネットワーク効果・機能
プラットフォームを利用しているユーザどうしが口コミ効果を相乗してそのバイラル効果によって情報が相互交流する機能です。これはプラットフォームの粘着度が強くなれば強くなるほど相乗効果を発揮します。
5)三角プリズム機能
通常は交わらない個人や組織をプラットフォームを介する事によって交わる機能です。例えば新聞は広告主と読者を結び付けます。
さて、それでは何故今、プラットフォーム戦略が脚光を集めているのでしょう。その背景を考えます。
1)技術進歩が加速している
スピードの変化に対応するため、1つの企業が都度開発提供するよりも企業同士がアライアンスをして協力するようになった事が考えられます。
2)顧客ニーズが多様している
顧客ニーズの多様化によって、やはり1社だけでは全ての対応は不可能です。そのために過酷な競争を繰り広げてきた結果、他社の力を借りたほうが良い場合もある事に気付いたのです。
3)ITの進歩により外部ネットワーク効果の拡大
ITの進化によりネットの世界での口コミ効果が重要である事に気がついたことも考えられます。
4)デジタルコンバージェンスの進化
デジタルコンバージェンス、つまり音楽や映像コンテンツ、コンピュータ、家電、ソフトなど、多くの産業の垣根や壁が壊され、新しい産業へと収斂(コンバージェンス)していくという意味。これが加速している事があります。
プラットフォーム戦略を取っている企業、アマゾン、アップル、グーグル、楽天、ヤフー、シスコシステムズ、フェイスブック、ツイッター、ソフトバンク、グリー。どうやら、この戦略は新しい億万長者のビジネスモデルとも言う事ができるようですね。
早嶋聡史