早嶋です。
今の世の中、中国の影響は何らかの形で受けています。近い所では、100円ショップ、ショッピングセンターなど。最近HBR(ハーバード・ビジネス・レビュー)で面白い論文を読みました。”中国人エグゼクティブに欠けているもの”です。
論文の中で、中国の成長とともに、中国人ビジネスリーダーの世界における役割について論じられています。この内容は、中国国土の158人のミドル・マネージャーを対象に、仕事の現実と理想の価値観について調査をする、実に10年にも及ぶプロジェクトの一環です。
中国企業はこれまで、世界の工場として、高品質製品を製造する下請けメーカー、大量生産を請け負うメーカーとして役割を果たしていましたが、中国のナショナル・ブランドは、皆、中国版ソニーや、中国版シスコシステムと言ったポジションを狙っています。ただ、このような野望を追いかけるには、イノベーションが必要で、創造性、起業家精神、知識の共有化といったことが必要になります。
本論分のポイントはこのイノベーションを創出する体質が、中国人ビジネス・リーダーに欠けているというものです。その要素を4つ挙げています。
①権限委譲と独裁
この点において、確かに中国のリーダーは権限委譲を認めるよりも、独裁的な傾向が強い印象があります。前職で中国蘇州で仕事をしていた時の経験です。私が、担当のマネージャーの部下に直接アドバイスをしたとき、ひどく担当マネージャーから怒られた経験があります。「部下に仕事を教えたら、私のする仕事を奪われるじゃないか」と言ったないようでした。これは、長い歴史の中で染み付いたパターラリズム(個人の自由や権利に必要に関与すること)が抜けきれないのでしょう。
②多様性と偏狭性
中国人の特色として、多様性に寛容ではないという点です。これは、従業員は常に身内と一緒に仕事をしていた歴史があり、偏狭性が強くなっているのです。そのため、新しい考えや異質な考えに対しては抵抗しがちで部門横断的な協働や協調が難しくなるのです。国際化を考えると当然、多様な集団との共同作業が必要になるので、この点を2つ目として指摘しています。
③自立と依存
社会主義的背景があるのでしょう。多くの中国企業で依存体質から脱却するために努力をしているようですが、中国社会に深く根付いている価値観は、一朝一夕には変化できないようです。
④グローバル化と国家の威信
伝統的に偉大なリーダーは中国の伝統に忠実である必要がある、といった事がグローバル化に歯止めをかけている場合があるそうです。中国人が伝統を重視するのは歴史の産物であり、国家の威信として根強く残っています。
論文のまとめでは、中国企業が真に国際企業として世界で活躍していくためには、中国人ビジネス・リーダーがこれらの4つの相反する矛盾を解決していく必要があると指摘しています。中国文化と実際のビジネス・リーダーを調査した報告結果で、中国を考える時に非常に参考になる資料でした。
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