フェアトレード

2009年12月29日 火曜日

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フェアトレード。直訳すると公平貿易、60年代に欧州で始まった国際協力活動の一環で、経済的・社会的に弱い立場にある途上国の生産者の生活が成り立つよう、環境負荷が小さい農産物や手工芸品を適正な価格で継続的に取引することです。

発祥の地だけあってドイツでもフェアトレード専門とするショップがいくつかあり、カフェを併設した施設が目立ちました。ビズ・ナビ&カンパニーもフェアトレードの精神にのっとり、カンボジアで社会起業家として、カンボジアのフェアトレードに携わっている社会企業家を応援していることから、今回の視察で注目しています。

しかし、上記のようなフェアトレード専門店を日本に持ってきたら?生活水準が高い広尾等では成り立つと思いますが、他の都市ではまだ難しいと思います。適正な価格という事ですが、国際競争をすると圧倒的に弱いので、価格が少々高くプライシングされているからです。商品そのものに対しての価値と、フェアトレードに協力しているという感情的な価値。どちらかと言えば、後者に共感する人たちが今は商品を購入しているのが大半でしょう。

フェアトレードを持続的な活動にするためには、生産体制を整えて、大手企業が行っている効率化を見習う必要があると思います。フェアトレードでビジネスを行っていても、生産体制が脆弱だと大手企業とのコラボレーションのチャンスを失う可能性も考えられます。

フェアトレードビジネスのアーリーステージは、付加価値に重んじたプライシングで勝負しても良いでしょうが、成長期、成熟期に持っていくためには、途上国にも先進国レベルの品質管理や生産体制を取り入れていくことが鍵かも知れません。

そんな中、キットカットがフェアトレード商品に認定されたとのニュースがありました。来年の1月からは英国とアイルランドでフェアトレード認証ラベルが付いたパッケージが用いられるようです。キットカットの原料であるココアを供給するコートジボワールの農家に対して、1トンあたり1750ドルの支払いを保証すると言う事です。そのうちの150ドルは地元発展に充てられます。

このような形で大手がフェアトレードに参入する意味は、純粋にフェアトレードの精神に乗った活動と、フェアトレードを使った企業イメージの向上の2つがあるでしょう。特に、後者の方はまだまだ新鮮さがあるため、企業としては絶好のプロモーションツールとして捉えられているかもしれません。

米国の事情ですが、現在4500以上の商品がフェアトレードに認定されており、昨年1年間では43%も売上を伸ばしていると聞きます。今後も、引き続きキットカットのようなフェアトレードの商品を認定を受けてプレスで発表する動きが加速するでしょう。

企業にとってはマーケティングの材料かもしれませんが、確実に途上国のためになっていることも事実です。余裕がある方は、是非、フェアトレードの商品を検討するのはいかがでしょうか?

早嶋聡史



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