社会規範と市場規範

2009年9月4日 金曜日

価値の判断において社会的な規範と市場的な規範の2つの立場があると考える事ができます。社会的な規範は、友達同士の頼み事やボランティアなどです。市場的な規範は、仕事のように対価の一つとして始めから金銭を求めているものです。

例えば近所の地区でボランティアによる清掃活動があったとします。多くの人はボランティア精神にのっとり清掃活動を行うでしょう。しかし、もしこの清掃活動に対して地区から一人500円を支払いますよ!という提案があったとしたら、多くのボランティアが参加しなくなるでしょう。500円の価値を提示された段階で価値の判断が社会規範から市場規範に移るからです。市場規範に価値判断が移れば、1時間の清掃活動で500円は割に合わない!と判断し、結果、参加を拒否するようになるからです。

ボンド大学の卒業生のネットワークも社会規範が適用されています。卒業生のネットワークをつなぐためにメーリングリストが作られています。このメーリングリストは様々な活動に使われています。その中で、経営に関する相談も多々あります。ある人が現状の経営課題や問題点を綴り、それに対してのアドバイスを求めます。2時間から3時間もすると、多くの卒業生がその内容に対してレスポンスを行います。もちろん一切の金銭的要求はありません。中には、その世界のプロモいますが全員が社会的な規範に基づいて行動をするのです。

もし、ここに1回のアドバイスに対して1000円を支払いますよ!となった場合、恐らくレスポンスの数が急激に減少するでしょう。1000円の価値を提示された時点で市場規範となり、普段の自分たちが稼いでいるサラリーと比較し、同等の仕事として捉えるようになるからです。結果、これに対してアドバイスをしてもペイしない!と判断するでしょう。

全米退職者協会は複数の弁護士に対して困窮した退職者の相談に乗ってくれる弁護士を求めました。そして、1時間あたり30ドル程度の低価格の対価を提示したのです。結果、声をかけた弁護士の全てから断られました。ところが、今度はボランティアで相談に乗ってくれないか?と募集をしたところ圧倒的に多数の弁護士から引き受けると回答を得たといいます。

始めの提案は市場規範を適用したため、1時間あたり30ドルではとてもペイしない!と判断したのです。ところが後の提案は始めから社会規範による価値基準であったため取り組みに賛同した弁護士はボランティアでも協力すると意思表示をしたのでしょう。

世の中をうまく渡って行く場合、社会規範と市場規範を別々に使い分ける事でかなり人生をハッピーに過ごすことができるかもしれないですね。

早嶋 聡史(はやしま さとし)

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