早嶋です。
ネイチャーテクノロジー。
これまでのテクノロジーの特徴は自然界に存在しない科学物質を生み出した発展でした。結果、環境は汚染され循環型の自然界の姿が崩れています。これに対して、地球に負担をかけないテクノロジーはないものか?と注目を集めているのがネイチャーテクノロジーです。元来生物が持っている形態や仕組みを研究することで完璧な循環システムを構築できるのではないか?こんな発想の展開があったのでしょう。そして、自然界から学ぼう!と。
例えば、蜂の動き。蜂の目は複眼になっており、遠くの物体は少数の目で確認します。そして、その物体が近くになるにつれて確認する目の数が増えていきます。ある一定数の目で確認が取れたとき、蜂は回避する行動をとります。この仕組みは現在、日産自動車などが自動回避の制御システムの研究に応用しています。
例えば、アワビの貝がら。こちらはセラミックなどの強度を上げる技術として採用されています。アワビの貝殻は薄い層が幾重にも重なりあい強い強度を構築している事が分かっています。この構造をまねて、薄いセラミックを重ね合わせることで従来よりも強度の強い部材が作れるようになりました。
例えば蚕。蚕から絹を作る作業は水との戦い。しかし、何十年も水作業を行っている職人の手はいつもつるつるでした。その理由は?疑問を持った蚕産業の研究者が調べたところ蚕の成分にシステインというたんぱく質が見つかります。これがいわゆる人間の肌に美白効果や保湿効果を与えるということが分かったのです。もちろんこちらの技術は化粧品や医療産業に活用されています。
例えば蛾。蛾のフェロモンがセンサーに活用されています。ある蛾は数キロ先からでもメスが放つフェロモンをかぎ分けて見つけ出します。これって驚異的ですよね。この仕組みを解明して何かを見つけ出すセンサーに応用する研究が進められています。
例えば蜘蛛の糸。こちらは単純で次世代の繊維としての注目を集めています。クモの糸は飛行機や宇宙素材として使われている炭素繊維と同様の強度を持っていて、かつその重さが40%も軽いという事が分かっています。現在、クモの糸を束ねて新たな商品開発を進める研究が進められています。
蜘蛛の養殖をおこない、クモの糸を採取するのは難しいという事で、クモの糸を遺伝子組み換えを行いバクテリアに大量に生産させようとする取り組みが進んでいるのです。蜘蛛の糸の特徴は二酸化炭素等の温室効果ガスの発生が炭素繊維と比較して5%程度というのも注目されている理由でしょう。
例えば藻。ある藻は水の中に養分が足りなくなると、自ら体内細胞に油を貯め込むという性質も持っています。これを代替エネルギーに活用しよう!という取り組みです。これまでのトウモロコシや大豆のバイオエネルギーは頑張っても年に2回の収穫。そして、エネルギー採取のために主食の原価を高等させるという新たな問題もありました。しかし藻。毎日細胞分裂を繰り返すので収穫は毎日。もちろん、これまで無視されていたので食料の高騰などの心配はありません。
このエネルギーは日本にとってもハッピーな研究です。脱炭素エネルギーとしての可能性がある事に加えて、日本は海に面する面積が広いからです。この技術が進むと原子力に加えて新たなエネルギー供給国になれる可能性も広がります。
ネイチャーテクノロジーは、人間の欲望が生み出した従来のテクノロジーの在り方を大きく変える一つの視点です。基礎科学、応用科学、工学などの知識を蓄え、異なる分野の専門家同士でコラボしながら、独創的なアイデアを生み出せる人材今後もっと注目されるでしょう。
昔はコンピューターおたくと呼ばれましたが、今はITエンジニア。昔は昆虫おたくと呼ばれましたが、今はネイチャーテクノロジスト。こんな変化だった起こるのでしょうね。
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