市場調査の落とし穴

2009年2月1日 日曜日

早嶋です。

現在、東京に向かう飛行機の中。明日の朝から小田原でセミナーがあるため移動中です。

何か新しい製品やサービスを市場で展開していく場合、市場調査は一つの有効な手段として多くの企業で実施されています。そして、その結果によってはゴーサインが出たり、プロジェクトが断念されたりと、結構重要な役割を担っています。しかし、革新的な製品やサービスであれば、実際の結果は参考にならない場合があります。

これって、落とし穴ですよね。

市場調査イノベーティブな商品に対して市場調査が参考にならない理由は次のように考えることができます。革新的なもの、初めて見るものについて、プロ以外の一般消費者はうまくその内容や感想を説明できない、です。

例えば、ワインのソムリエは、同じような(素人の感想ゆえ堪忍!)味のワインの違いを実に豊かに、創造的に表現します。同じことを素人に求めても無理でしょう。

例えば、仏像の顔を考えてみます。まったく興味がない人にとって、作風や年代、仏師によって表情の違いがあることを表現して!といっても、全てが同じに見えるでしょう。

例えば、マヨネーズ。友人にマヨネーズのプロフェッショナルがいます。彼の味覚の表現は実に興味深いです。色、彩度、色相、輝き、ふくらみ、泡の外見6項目を語ります。唇に触れたときの感覚、柔らかさ、濃さなど、食感に関しては10項目程度の話をします。風味に至っては風味14項目と言って実に細かいです。風味は匂い、基本的な味、科学的要素の3項目に分類してペラペラ話しています。更にはそれぞれの要素を15段階の評価軸で表します。

つまり、その道のプロは長年の仕事の中で当たり前のように評価する方法とそれを表現する方法を習得しています。しかし、消費者からしては、自分の第一印象をそもそも表現する習慣や概念がないのです。

近年の脳科学では、自分の得意なこと、自分が興味があること、いつも気にかけていることに対しては経験と情熱によって自身の第一印象の質を高めるとか。これは、プロが一瞬何かを見ることで本質を見極めることを考えれば納得です。

無意識の感想は脳の閉じられた部分から出力され、その部分を自分で覗くことは難しいでしょう。しかし、経験を積むことによって瞬時の判断と第一印象の奥にあるものを解釈して意味を読み取れるようになるのでしょう。

もし、自社製品やサービスを市場調査する機会があったら、一呼吸おいて次のことを考えるべきです。その商品は消費者にとって革新的なものなのか?もっというと、馴染みがないものか?

もし、この問いかけに対してYesであれば、市場調査で得た結果、つまり消費者の第一印象に対しての考えをそれなりに解釈する必要があります。なぜならば、一般の消費者は、なじみがないものに対しての第一印象を表現する機会などなければ、そのようなことをする必要性がないので、急に聞かれたとしても、実際の感情を定性的に表すことが難しいからです。



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