ミラーニューロン

2009年1月10日 土曜日

早嶋です。

本日は蘇我にある兄の家に来ています。甥っ子と姪っ子を見ていると、お互いが喜んでいる状況の時は、両者が元気になります。逆に、どちらかの機嫌がわるくなると、片方の機嫌も斜めになります。

この様子を見ていて、ミラーニューロンの話を思い出しました。ブログ「モチベーション」でちょこっとだけ話題にした概念です。

ミラーニューロンの概念はここ最近の脳科学における最大の発見と脳科学者の茂木さんが言っています。このニューロンは、何らかの動作を行ったときだけでなく、その動作を見たときも同じ活動を示す、というものです。

1992年、イタリアの科学者ジアコーモ・リッツォラッティと彼の研究チームは脳が運動行動をどのように制御しているかを調べるためにサルの脳を研究していました。研究チームはサルの運動前野という領域を注目していました。この領域はサルが運動を行うときに活性化される領域です。そして、次のような発見があったのです。サルが木の実を採る時などに手を伸ばすとき、運動前野が活性されるだけでなく、他のサルが木の実を採る時も同様にサルの運動前野が活性されることを。

つまり、ミラーニューロンは、なんらかの動作を行ったときだけでなく、その動作を見たり、想像したりしたときにも活性化されるのです。茂木さんの解説では、ミラーニューロンはコミュニケーションをつかさどる生物の重要な部分で、視覚情報から相手の気持ちを読み取る事が出来ると解説していました。

甥っ子の機嫌と姪っ子の機嫌がリンクしている。これもミラーニューロンの働きなのでしょう。甥っ子が頭をぶつけてとんでもない音を出した時、自分の頭を打ったような気持になりました。これもミラーニューロンの作用でしょう。この作用、振り返ってみれば、さまざまなシーンに当てはまります。そして、その説明が明らかになります。映画でヒロインが涙を見せている時、自然とほほが濡れる。ブルース・ウィルスがありえないアクションを行った後、痛快な気分になる。テレビで豪華なホテルを見たとき、なぜかリッチな気分に浸れる。等々。

梅干本当?と感じた方、次の文章を読んでみてください。

『紀州の梅干し』『レモンの果汁』『黒板を爪で引っ掻く』

きっと、つばが出てきたり、ぞくっと感じたことでしょう。頭の中で梅干しの酸っぱさをイメージして脳の酸っぱいと感じる部分が活性化しているのです。レモンの酸っぱさを想像して、やはり脳のどこかの領域が活性化したのです。

ミラーニューロの概念、最近では人間の共感と関わりが強いのでは?ということでマーケティングの世界にも導入されつつあります。きっと、まちなかでポッケからiPhoneを取り出した人を見たことがある人は、あっ、私も欲しい!と思ったことがあるのではないでしょうか?

このミラーニューロンの研究が更に進めば、完全な脳に訴えるマーケティング手法が確立されることでしょう。これってちょっと怖い世界かも知れません。



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