Fail Big 失敗から学ぶ後編

2008年12月24日 水曜日

早嶋です。

my god昨日の続き、失敗から学ぶの後編です。

3)方向転換しないという過ちを犯す
従来から行ってきたビジネスに継続的に投資し方向転換をしない事例です。事例としてはイーストマン・コダックやポケットベル事業を上げています。

企業が方向転換しない理由はいくつかあるでしょうが、その多くは新しいビジネスモデルの経済性が、古いビジネスモデルの経済性に及ばないことです。これについては、クーンのパラダイムシフトやは、クリステンセンのイノベーターのジレンマで語られているところです。

4)似て非なる隣接事業に参入する
著者による隣接事業の参入の定義は、コア事業の組織的な強みをレバレッジにして、関連事業に参入することです。言い換えると、アンゾフの成長戦略(アンゾフ参照)で言う、市場浸透戦略以外の象限でのビジネス展開ですね。

著者が調査した750の失敗事例に、間違った隣接事業に参入したことが原因で破壊した企業が数多く求められたようです。失敗のパターンは、4つに分類されます。

第1は、隣接市場への参入を、素晴らしいビジネスチャンスととらえて進出したのではなく、コア事業に変化が生じて参入したパターンです。第2は、隣接事業に関する専門知識の乏しさから、買収判断や競争上の解題への対処法を見誤るパターンです。第3は、コア事業のケイパビリティの強さや重要度を課題評価して破滅したパターンです。そして第4は、自社が抱える顧客基盤を過信して隣接事業に参入して失敗するパターンです。

5)追及すべき技術の選択を誤る
誰もがgoogleやイーベイ、iPodで復活したアップルを目指していることでしょう。5つ目の事例は、技術依存型の戦略の多くが、技術の認識を間違っていたことによる事例です。

代表事例は、モトローラの衛星電話サービスです。開始して1年も経たないうちにチャプター・イレブンを申請しています。著者は、この失敗はマーケティングの不備ではなく、モトローラの専念すべき技術に問題があったと言っています。その証拠に、ビジネスに乗り出す前に、モトローラの技術者は次のように発言しています。

「携帯電話は年々改良され安価になるが、衛星電話はどこまで行っても、80年代初めの携帯電話と同じ技術上の限界がある」と。

失敗の原因は、技術そのものに虜になり、実施したマーケティング調査も経営陣には届かなかったのです。

6)安易な合弁に走る
業界のライフサイクルに応じて、企業の数は減っていきます。合弁していない企業は時として他社と1つになる選択を採ることによって規模の経済を得、その選択を選ぶかも知れません。

筆者はここに警告を出しています。つまり、例え他社が合弁を模索している場合でも、静観するか、状況が悪化する前に企業を現金化したほうが言いといいます。これに関しては、合弁劇における3つの誤りを指摘しています。

1つは、合弁によって資産とともに問題を買収してしますこと。そして、合弁によって企業の複雑性が高まり、規模の不経済性が生じること。最後に、企業を買収しても、被買収企業が抱えていた顧客までを取り込めるとは限らないことです。

7)ほぼ全てを参加に収める
ロールアップ。数十から数百の小企業を取り込み、それによって企業の購買力を高めブランド認知度を高め、資本コストを下げ、効果的なプロモーションを展開することを指します。

しかし、著者の調査ではロールアップ企業の実に2/3は全く株主価値を創造していないといいます。そして、その理由の多くは不正に手を染めていることです。

ビジネス研究の多くはベストプラクティスに注目し、その企業の戦略や戦術を体系化し一般化する試みです。しかし、今回の論文はその反対、失敗に注目し失敗から学ぶことに重きを置いていました。興味がある方は、HBRの2009年1月号を参照ください。



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