思考の特徴

2008年12月14日 日曜日

早嶋

ブログ「思考の近道」でもコメントしましたが、今回も人間の思考についてコメントします。

think近年、思考についての著書や研修が数多く存在します。ロジカルシンキング、ポジティブシンキング、クリティカルシンキング、クリエイティブシンキング、仮説思考・・・等等です。この背景に、近年、脳のメカニズムが徐々に明らかになりつつあることが関係していると感じます。

何かに没頭している時、人は夢中になって1つの事象に関心を抱きます。これは、ある情報インプットに対して人の脳が1つの視点から思考する特徴があることに起因します。何かに没頭することで、より深く思考するのです。

しかし、これに関しては良くないことも生じます。他の視点を考えないことや、周りが見えなくなることです。これに関してはトリガー効果やアンカリングと言いますが、正常な脳の活動をするが故に視点が集中してしまうのです。脳を使うとそれだけカロリーを消費します。そこで、進化の過程において高度に脳の動きを最適化するようにプログラムされたのです。

既成概念に捉われ易いのも、正常な脳の活動が原因とされます。ニューロンは既に活性化されたものに対して刺激を受けるとより敏感になる傾向があるといいます。これまで考えた内容や既成概念として脳が認識している内容と似たような内容だと脳が判断すると、これまでの思考パターンに陥ります。これも脳が高度に進化した結果、思考をショートカットすることで脳の消費を抑えているのです。

他にも似たようなものを同一視することだって、ニューロンが同じパターンの活性化領域を作り出すことが原因とされます。脳はあるインプットに対して、これまで認知した似たようなインプットと同一視して知覚するのです。この脳の機能の弊害としては新しくアイデアを生み出すときに思考が停止することです。

過去の経験が思考に大きく影響するのも同様の理由として考えられます。過去の活性化状態で受けた刺激の回数が多くなれば、それだけニューロン間の結束が固まり、同一視したり、経験と同じような視点や発想で物事を考えます。

そこで、一連の脳のメカニズムを踏まえた上で、正常に脳が機能することによって弊害を被る場合は、毎回、意図的に脳に刺激を与えることで回避することができます。つまり、脳を非効率に活動させるのです。意図的に他のことを考えろ!と脳に指令を送ることで、アンカリングやトリガー効果から脱出し、広い視点で物事を考えることができます。

また、過去体験したような事象に関しては、現在と過去では違う!参考程度に考えよう!と考えたり、過去は過去、今は今!と意図的に脳に刺激を送ったりするとよいと思います。ロジカルシンキングでも、思考の近道に陥らないようにフレームワークをつかいます。この背景は、フレームワークをつかうことで意図的に他の視点を考え、そのことによって様々な視点で物事をとらえて考えるようにするためです。

正常な脳の使い方をすることによって、思考が停止したり、アイデアが浮かばなかったり、思考が凝り固まったり。実に脳の仕組みは興味深いですよね。



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