無秩序な法人営業

2008年10月11日 土曜日

早嶋です。

BtoBの営業活動において、マーケティングの考え方が欠乏していると思うことが良くあります。例えば市場を科学的に観察して、その観察に基づいた自社の営業戦略を考えていくなどです。

ビズ・ナビ&カンパニーでは法人営業のコンサルテーションを行う機会が多いのですが、無秩序、不規則から組織の力を発揮できない事例が多いと感じます。例えば、営業パーソンの営業経験と売上成長率の相関を取って見ます。仮説では、経験が積み重なるにともない売上成長率が伸びてくると予測しました。しかし、実際は経験に関係なく売上成長率が高かったり、無相関の場合が多いです。

他にも、法人営業の担当企業ごとのポテンシャル(予算規模など)と営業パーソンの訪問回数の散布図を見てみるとやはり相関性が乏しい場合がほとんどです。通常であればポテンシャルの高い企業に訪問回数が多いと予測できますが、実際はポテンシャルが低い企業が訪問回数が多いという結果になります。理由はおよその予測がつきます。ポテンシャルの高い企業は競合にとっても優良顧客の可能性が高いので、営業活動を行ったとしても、相手から厳しい立場で接されるのでしょう。それに比べてポテンシャルの低い企業は数字を達成する事はできませんが、担当者と仲が良かったり、ひょっとしてお茶が出てきて休憩が行えるのかも知れません。

他にも顧客別の売上高と顧客別の割引率の相関、販促費と効果、など様々なデータの相関関係を調べて見ますが、どの企業も決まった法則は無く、まったく無秩序な状況が浮き彫りになってきます。

営業パーソンに権限を任せた結果、上記のような結果になっているのです。営業活動を定量的に分析する事はほぼ皆無なので、実際の状況が企業の経営者にも見えていない場合が多いようです。上記の結果になる企業は次のような特徴を抽出できます。

①営業パーソンに営業箇所を選択させ訪問させている。
②営業パーソンに権限を委譲して個別の価格設定を行っている。
③営業パーソンに権限を委譲して販促費の投入を行っている。

つまり、企業戦略とかかわりの無いとこで現場が無秩序に動き、経営陣もその実態を把握していないという状況がおよその企業で観察できたのです。もちろんこの原因は営業の実態を定量的に見える化できていないこと。経営者が自社の営業活動の実態を客観的な分析や診断、そして自社の営業のあるべき姿が明確になっていないため、秩序の無い営業活動が頻繁に行われているのです。



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