新規事業の旅124 マネジメントの共通認識

2024年7月10日 水曜日

早嶋です。

既存事業で成長に限界を感じた大企業は、新規事業の開発に乗り出している。しかし、明確な勝ち筋を見出せている企業は少ない。新規事業が目的になり、どのエリアでどんな目的で取り組むかの議論が浅いまま新規を求めているのだ。そのためアプローチの話題が選考する。

新規事業のアプローチは、ゼオイチ(自社で開発する)、M&A、提携出資がある。ゼロイチは、社内で成果を出した人材を中心にチームを作り取り組む。結果、中々うまれない。理由はいくつでもあるが、社内で成果を出した人材の多くが、現在の事業ポートフォリオでキャッシュカウの事業を任されている方々だ。10の事業を100にするのは得意だが、0から1を生み出すのは別の能力が必要なのだ。

そこでM&Aだとなる。が、良い案件は不動産と同じで既にM&Aで成果を出してきた企業にいち早く情報が流れる。案件を見つけ出して取引するFA業者も、初めての、そして戦略が不明瞭な事業会社に案件を持ち込んだとて意思決定が遅いので後回しにするのだ。しかし一定の企業がM&Aをすると宣言すると情報は集まりだす。今度は内部に問題が露呈する。M&Aを戦略的に行うと決めてみ、それらに対して、どのように案件を発掘して、投資して、その後成果を上げるかの道筋が極めて不明瞭になっていることだ。

M&Aで勝ち筋を見出している組織の特徴はシンプルだ。M&Aに関する話題は、小さくてもすべてトップにいれる。そして事前に整理した戦略に基づき、案件を断るか、じっくり精査するかを即判断する。精査する場合も、財務と経営と組織に強い少数で案件を判断するのだ。

最も、M&Aだと行っている組織の多くが、経営、財務、人事との取組が弱くて、互いが何をしているかあまり理解していない組織が多い。更に、日本は管理することを前提に進める取組が長らく続いたので、ファイナンスに明るい人材が少ないのだ。また経営もM&Aは、百貨店のように欲しい案件があって、選んでお金を払えば済むと考えているフシがある。自社に回ってきた案件は条件がわるく、それでも複数の企業と競わされていることも知らないのだ。

今後、成長事業を考える企業は、新任のマネジメントには上記のような議論は確実に提供することをおすすめする。

(過去の記事)
過去の「新規事業の旅」はこちらをクリックして参照ください。

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M&A実務のプロセスとポイント



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