新規事業の旅112 30年停滞からの学び

2024年5月16日 木曜日

早嶋です。

大きく昔から変わらない企業は指を加えて眺めている。この構図は10年、20年そして、今でも観察される。事業チャンスはあらゆる組織、規模の大小に関係なく平等だ。新規事業の必要性をただ連呼するだけでは何も生まれない。組織のトップが現場レベルにまでコミットし、試行錯誤を繰り返しリスクをトップが引き受ける。このような組織は、社長=起業家か、現在も成長を遂げている企業の姿だ。

芳しく無い企業は、経営方針が不明瞭、リスクを取る覚悟が経営陣にみられない。これまでの思考の枠組みに収まり、様子をみることで自らの成長チャンスを潰している。守りに徹して組織のクイッぷちを守るのも正論だが、動かないで30年間じっとするのは違う。できない場合は、できる役者にバトンタッチすれば良いのだ。今の日本は、他の国に100歩くらい後に追いやられている現実なのだ。直視しよう。

チャットGPTが去年頃より賑わせているが、成長が止まっている大きな組織は、情報の流出の懸念があるからという理由で、何も調べない内から導入しない。昨日のGPT4o は、ITリテラッシーが低い社員でも、コンピューターを自然言語で、しかも口頭で使える革新があるのに、おそらくそれらを活用するという発想は1mmもないのでは無いかと思ってしまう。

デジタル技術が誕生した際に、例えばレントゲンの写真をアナログからデジタルに移行させる意思決定も、口腔内の撮影をして治療の経過を見る工程をデジタルに置き換える際も、昔の人は難癖つけて現場の導入を10年単位で送らせている。「レントゲンの写真の白黒の色合いじゃないと診断ができない!」とか、「デジタルで口腔内の写真を取ったら加工できるじゃないか!」とか言った具合で。いわゆる「偉い人」の一声に迎合して若い人も声を挙げない期間が続いているのだ。

選挙の電子投票もしかり。昔からの体質の大きな組織は年齢が高いが所以に、変化をしないままでいる。デジタルに反対の一派は、「不正が起きたらどうするか?」と断固反対している。デジタルで行った場合が、不正は回避しやすくなるのに、一度反対を決め込んだら死ぬ前態度を変えないのだ。

ソフトウエアの開発も、ベンチャーがオープンソースを導入し開発スピードとソフト品質を向上させている中、大きな成長をしていない組織の長老は、「誰が作ったかわからないソフトを組み込んでいいのか!」と現場を怯えさせてチャンスを何度も逸してしまう。

大きな成長できない企業の構図は、実はある程度おなじだと思う。経営陣が表では成長、イノベーション、新規事業と連呼している一方で、裏ではトライ&エラーをしない、失敗を許さない、方針を明確にしない。そして、何もよりも悪な思考は既存事業の判断軸で新たな取組を評価してしまうことなのだ。

ここまで読むと、「やっぱりトップが悪いね」とか「そうそう」と若い世代の組織人は頷くかもしれないが、若手の世代にも課題はあると思う。仮に、上が動かないとか、考えないとか思っているのであれば、自分のアイデアを整理して提言すべきだからだ。しかし、ある程度規模が大きくて年功序列の組織ほど、上司と部下のコミュニケーションの実質的なギャップが大きいのだ。結果的に「言っても意味がない」「どうせ却下される」となり、徐々に思考することすら忘れてしまっているのだ。どこかしら組織に属していながらも、組織が目指すビジョンの実現を他人事として捉えているのも罪なのだ。

(過去の記事)
過去の「新規事業の旅」はこちらをクリックして参照ください。

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