プライベートブランド

2008年3月21日 金曜日

早嶋です。

小麦や燃料に代表する原材料の価格高騰によって、食品の値上げが広がっています。例えば日清食品。1月に主力商品のカップヌードルなどの即席めんを値上げ、これに対してさらに再値上げの動きも見せています。例えば山崎製パン。こちらの去年の12月の値上げに続き再値上げの検討をしているようです。

そんな中、流通大手では自主企画商品、いわゆるプライベートブランド(PB)の一斉拡充の動きをとっています。PBと聞いてピンとこなければ、イオングループのトップバリューやダイエーのセービング、西友のグレートバリューなどを思い浮かべてください。それらがPBです。

PBは流通業者が独自に、またはメーカーとタイアップして開発したブランドを指します。PBの特徴は、1)流通業者が販売価格を主体的に決めやすい、2)商圏や店舗の特性に応じた柔軟な商品提供が出来る、などがあります。一方で、在庫リスクはナショナルブランド(NB)よりも高くなる可能性があります。小売自ら販売量や顧客ニーズについても数値管理が必要になるからです。

ただし、総じてNBよりも1~5割安いPB。イオンは今後1年で食品を700品投入し約3割増、セブン&アイ・ホールディングスは2倍、西友も1.5倍に引き上げる計画です。この動きは、NBにも価格競争の波を引き寄せかねませんね。

日本国内においてPB導入の動きは食品や日用品を中心に何度か見られました。80年代、いち早くダイエーが導入しましたが、このときはまだ、消費者のメーカー志向が強かったため普及していません。そして90年代、今度はナショナルブランドが占める相対的なシェアの下降が確認されています。そして、今。PBの普及が一気に加速しています。

この背景は、1)現在の景気にかかわる消費者の価格志向の高まり、2)技術進歩によって品質が底上げされた、3)大型化、経営統合によって小売店の高所力が向上した、などがあると思います。従来のPBはNBと比較して低価格のみが売りのポイントになっていましたが、十分な品質や機能が備わっている今、消費者はNBに対しての価格プレミアムを支払う意味を感じなくなるでしょう。

原材料の価格高騰によって、PBが広がれば当然、NBも価格の見直し、新しい差別化、消費者が喜んでプレミアム価格を払いたくなる製品カテゴリーの創出などの対策を迫られることになるでしょう。



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