新米マネジメントの落とし穴

2022年4月19日 火曜日

早嶋です。

プレーヤーからマネジメントになる際に多くの方が陥る罠に、「部下に仕事を任せることが出来ない!」という現象があります。部下が仕事をするよりも、自分が動いて成果を出したほうが、成績も良く手戻しも無いので効率的だと考えるのです。しかし、マネジメントが直接手をくださすと、本来の仕事に工数を割くことが出来ないし、部下も成果を出せない組織になるので、チームを形成する意味がありません。マネジメントは部下を介して、人を介して成果を出すのが基本だからです。

では、なぜ新米マネジメントは、そのように仕事を部下に任せることが出来ないのでしょうか。もちろん経験が無いので、そのような発想にならないということもあるでしょう。ただ、実際に役割が増え、プレーヤーとして仕事をすることが、自分の業務量を増やすことに繋がり、部下の育成も本来の仕事もできなくなることに気がついていません。研修等を行うと、かならず部下の育成や教育をしないといけない。一方で、時間が無いといっています。本来のマネジメントの業務が出来ていないのです。

では、なぜ仕事を部下にふることが出来ないのでしょうか。私は、理由は3つあると思います。1)そもそも自分の仕事を踏まえて、細分化や定義ができていない。2)仕事の優先順位や重要度を把握していない、或いは考えていない。そのために仕事をふる勇気がない。3)部下の面倒を見るという基本的な役割に資源としての時間を割いていない。

1)そもそも自分の仕事を踏まえて、細分化や定義ができていない。
新米マネジメントは、得に日本企業の場合、急に人事がやって来て役割が上がり、部下が増えてしまいます。そのためどのようにマネジメントするかの教育もありません。新米は仕方が無いから成果を出すことに焦って色々試しますが、全てうまく出来ずに結局自分が動くのです。上司や会社は、それでも全体としての成果は見かけ上上がっているので口出しをしません。しかし、これは最悪でそのうち、新米マネジメントは過労で使い物にならなくなります。

本来、マネジメントは自分の仕事がどのようなもので、どのような業務フローになっているか整理して把握することが重要です。加えて仲間と仕事の成果を出す場合は、チームの目的や業務内容を把握して、誰がどの程度の経験や能力を持っているかを確認します。そのうえで、チームとしての方向性を確認して仲間に示し、各メンバがどの程度仕事をすると良いかを整理して、徐々に自分の仕事の一部や全体を仲間に降っていきます。

2)仕事の優先順位や重要度を把握していない、或いは考えていない。そのために仕事をふる勇気がない。
当然、1)は簡単にできません。細分化し、整理した仕事に対して、優先順位や重要度、或いは難易度を整理する必要があるからです。そして、徐々に手放していき、部下や仲間の能力レベルに応じて配分します。もし、この時点で部下の能力が不足するのであれば、そこに教育を施す必要もあります。そして、上記のことを整理しても、最終的に降る勇気がなければできません。

このような落とし穴に陥るのは、現場での成績が良く、業務量が多くても工夫して出来る優秀なプレーヤーが多いです。もし、新米マネジメント自体が無能であれば、部下は心配して、はじめからマネジメントの業務量も行いますので、勝手に部下が育ち、仕事が出来るようになるからです。そのため部下の育成のためには、あえて無能っぷりを発揮することも大切なのです。

3)部下の面倒を見るという基本的な役割に資源としての時間を割いていない。
細分化して、部下の力量に応じて仕事を降ることが出来ても、その仕事の内容や進捗を適宜管理して修正することが大切です。当然、自分で行うよりも管理することが初めは大変です。部下のことを知らなければ、報告書の内容も鵜呑みにできません。そのためマネジメントは全体の時間の2割から3割を予め部下とやり取りする時間として確保することが必須になるのです。

そしてこの時間で適宜部下の力量に応じて指導をすることこそが、部下の教育になるのです。

ということで、新米マネジメントの皆さん、自分の仕事を降ることを恐れずにチャレンジしましょう。その仕事をこなすのは当たり前。その仕事で成果を出しても、過去の給料の範囲無いの仕事です。マネジメントは将来の仕事を創ることと、部下の育成をすることに徹することが大切なのです。



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