畜養型営業の達人

2020年7月5日 日曜日

高橋です

毎月この1か月間にお会いした人、会社の中から、私が選ぶ The most impressive Meeting(最も印象に残る出会い)を皆様にご紹介してまいります。

今月のテーマは「畜養型営業の達人」です。

今回ご紹介するのは約100人いる営業マンの中で常時トップクラスの成績をキープするスーパー営業マンの紹介です。彼がずっと安定した成績を挙げ続けられる秘密を教えてもらいました。

彼(春日さん:仮名)は、福岡の地場大手不動産会社に勤務しています。仕事はおもに土地の仲介です。個人が持っている土地を住宅メーカーに紹介して売買の仲介手数料をいただきます。住宅メーカーはその土地に家を建てて分譲住宅として売ります。
今は分譲住宅の需要が高いので、良い土地の売却の話しがあると誰が仲介するか取り合いになるそうです。需要は有るので、あとはいかに売り土地の情報を誰よりも早く、誰よりもたくさん収集できるかが春日さんの成績を左右します。

どうやって春日さんは売りたい土地の情報をたくさん集めることができるのか?その秘密が「畜養型営業」です。

畜養型営業とは、「稚魚をたくさん買ってきて生簀で育て、成長に沿って次の生簀へ移し、最後の生簀から市場に出荷する」ような営業のことです。安定して計画的に魚を出荷することができます。「畜養型営業」の反対は、「一本釣り営業」です。一本釣り営業とは、「見えている案件を追って、それを獲りに走り回っている」営業のことです。たまたま大物がかかれば華々しいですが、次いつ釣れるか全く予測ができません。(参照:「ドラッカーが教える営業プロフェッショナルの条件」長田周三著、総合法令出版)

実は、春日さんはこの10年間毎週欠かさず朝会(早朝から行う情報交換会)に出席しています。そこで50人以上のメンバーに毎回毎回土地情報の紹介を頼んでいます。朝会のメンバーは入退会で入れ替わるのですが、春日さんは創設時からずっと在籍し、毎回紹介をお願いしていると、今では800人ほどの紹介依頼ができる人脈が出来上がったらしいのです。すると、毎月誰かから自然と土地情報が自動で入るようになったとのこと。

また紹介を依頼するトークもブラッシュアップしていき、簡潔・インパクト・覚えやすいメッセージを確立しました。メンバーに言い続けることにより、「土地と言えば春日さん」と刷り込むことに成功しています。
800人もいるといつも会えるわけはないので、繋がりがなくならないように季節のお便りを出すことも欠かしません。10年以上コンスタントに継続しています。

春日さん曰く「業績はまったく心配していません。土地情報は自分で探さなくても、経験上、毎月○○件入ってくることは分かっているからです。私の仕事は、ご紹介いただいからには一生懸命対応させていただくことと、ご縁が途切れないように繋がりを続けること。この二つだけでいいのです」とのこと。仕事が楽しくて仕方がないという気持ちが、とても伝わってきました。

上司からも高く評価されています、売上の数字が読める部下ほど頼りになる者はいません。

これだけの仕組みは一朝一夕にできるものではないでしょうが、春日さんのように時間はかかっても作り上げてしまうと、安定的に先の見えるストレスのない営業活動を展開できます。

顧客ごとに商談の進捗状況を常に見える化しておく、規則的に既存客を訪問する、見込客を計画的に潤沢にするなど、継続して成果を挙げ続けるために「畜養型営業」をぜひお勧めします。

「優れた仕事とは、長期にわたり、仕事において成果を生んでいくことである」
 『マネジメント-課題・責任・実践』 by P・F・ドラッカー

セールスプロセス、営業研修、経営戦略などにご興味ご関心のある経営者・経営幹部・リーダー・士業の方はお気軽に弊社にご相談ください。



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