早嶋です。
メタボリック症候群を受けて、世の中には実に沢山のソリューションが提案されています。メタボリックは主に成人に対して使われますが、学齢期の子供たちにとっても深刻な問題です。
国際肥満タスクフォースの発表によれば、世界中の学齢期の子供たちの1割、10人に1人に当たる1億5500万人が太りすぎで、そのうち3000~4500万人は肥満の分類に入るだろうとされています。
肥満によって国が支出する金額は巨額で、各国の公共機関はこの問題について何処から取組んでいけばよいのか途方にくれているところもあると思います。
英国では、この問題を学校給食に革命を起こすことから初めました。ジェイミー・オリバーをご存知ですが?知っている方は、かなりの料理好きか、甘いマスクを好む方か。
彼は、ロンドンで有名なシェフで、自分のテレビ番組を持ち、料理本はベストセラー、失業中の青年を支援する事前団体の主催者です。オリバーは英国の学校給食が学齢期の肥満の原因の1つと考え、Feed me better(もっとましな食べ物を食べさせて!)というプロジェクトを開始します。
英国の学校給食は、脂っこく、塩辛く、加工されて、甘すぎる。それを天然素材や果実、野菜をふんだんに使った調理したての栄養価の高い食べ物をこれまでのコスト、もしくはそれ以下で提供することに成功したのです。
オリバーが行った活動は、シェフと言うよりマーケターです。給食のルールを変え、人手と資金を増やすという具体的な目標設定を行いました。ターゲットの生徒たちに耳を傾けて、生徒たちに影響力を持つ学校給食の食堂係りの女性たちと先生と父母に注目しました。そして障壁やベネフィットを明確にします。障壁は、ひどい食事になれた味覚とそれを作り出す給食システム。そしてベネフィットは、肥満の解消と学校成績の改善です。
オリバーが給食改善プロジェクトを進めるにあたり取った戦略は、IMC(Integrated Marketexing Communication:統合マーケティング・コミュニケーション)です。マスコミ、印刷媒体、イベント、Web、すねてのメディアで統一のコミュニケーションを行いました。そして、社会にPRするための陳情書への署名活動は強力なキャンペーンになりました。
給食改善も、ロンドンのある学区から実験的にはじめ、その効果を検証した後、その結果をパブリシティ(ニューヨーク・タイムズ)を使って効果的にプロモーションします。それから、ターゲットの生徒たちにオリバーの給食を食べたい!と感じてもらうために、野菜のコスチュームを着て調理をしたり、野菜の歌を歌ったり、キャンペーンのステッカーを配ったり・・・。
そして子供たちの信頼を得てトニー・ブレア首相をはじめとする数百万人の注目を浴びたのです。オリバーが行っている事に興味を持ったら、IMCのポータルであるWebを訪れ、更にオリバーに共感するようになります。
最終的な成果として、27万1000名を越す署名を集めた学校給食改善の陳情書をブレア首相に面会して届けます。ブレア首相はその直後、給食の改善に672億円の予算を引き当てたのです。
ジェイミー・オリバー氏が取った行動、企業のマーケターとしては学ぶべき点が沢山ありますね。