高橋です
毎月この1か月間にお会いした人、会社の中から、私が選ぶ The most impressive Meeting(最も印象に残る出会い)を皆様にご紹介してまいります。
今月のテーマは「一回の顧客を一生の顧客に」です。
今回は、カスタマーリレーションシップマネジメント(CRM)のシステムを開発している企業の社長との会話から、お客様とのつながりについて紹介します。
その企業は医院に特化したCRMを開発していますが、そのシステムを導入した医院はとても繁盛しています。それは一度診療した患者に定期的に来院していただく「仕組み」、一例を挙げると定期健診のお知らせ、毎月ニュースなどの情報発信、バースデーカードなど、を作り上げるからです。しかもシステムのおかげでスタッフの負担を極力かけずに済むので、その分本来の医療に専念でき、さらに顧客満足度が向上し、また来院するという好循環が生まれています。
その社長とお話しをしていると、これからのマーケティングに必要なことが明白でした。新規顧客を開拓するコストは既存顧客を維持するコストの5倍かかると言われます(1:5の法則 ベイン・アンド・カンパニー、フレデリック・F・ライクヘルド)が、日本は人口増による高度経済成長の右肩上がり時代は終わり(デービッド・アトキンソン著「日本人の勝算」)、今後国内市場の先細りを考えると、既存顧客との関係・維持強化に重きを置くのは当然でしょう。
経営コンサルタントの小宮一慶さんは著書「小宮一慶の実践!マーケティング」の中で、リレーションシップマーケティングにおける顧客の6段階分類を紹介しています。
●最初の段階は「潜在客」商品・サービスを買ってもらう前の段階
●そこから、商品・サービスを買うと「顧客」となり、
●さらに、商品・サービスが良いということで頻繁に買ってくれるようになると「得意客」となる
●さらに、「ここの商品しか買わない」という人は「支持者」と呼ばれ
●さらに、「あのお店はいいから行ってみたら」と人に勧めてくれるのが「代弁者」
●さらにその上に「パートナー」と呼ばれる人。その会社のファンで手弁当で手伝ってくれたり、「一緒にやりたい」と代理店になってくれる人
このように、「潜在客」→「顧客」→「得意客」→「支持者」→「代弁者」→「パートナー」と顧客との関係性をいかに深めていくかが企業にとって重要になります。
では、どうすれば顧客との関係性が深まるのか、方法はいくつも考えられるでしょう。「予想を上回る」と言いますが、まずは自社の商品・サービスに満足していただくことは当然の前提として感動のレベルまで高めることができれば「代弁者」「支持者」になってもらうこともできるでしょう。
また顧客から信頼され「心の距離」を縮めるためには、コミュニケーションの回数を増やすことが効果的です。心理学で人は接触回数が多いほどその相手に好感を持ちやすいことがわかっています(ザイオンス効果)。その上で「あなたは特別だ」と一人ひとりの顧客を特別扱いするコミュニケーションができればファンになってもらうことも可能でしょう。
多くの顧客がいるのに、そんなに頻繁かつ個別対応できないと考えられる方もおられるでしょうが、そこで最初に話した企業が提供するCRMなどのIT化・AI化で可能な範囲が大きく広がり成果を生み出しています。昔は大企業にしか使えなかった高価なコンピューターや特殊なシステムが、いまでは安価に手軽に手に入る時代です。クラウドを利用すれば、常に最新のシステムが安全に使用できますし、ビッグデータも無料で使えるものがたくさんあります。中小企業にとって戦いやすい時代になりました。私共もこのチャンスを逃す手はないと考え、自社にもクライアントにも積極的にCRMやリレーションシップマーケティングを取り入れてまいります。
「一回の顧客を一生の顧客に」
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