歴史は繰り返す③ 保護と開放の葛藤

2020年1月4日 土曜日

早嶋です。

格差は2極化している一方で、世界全体の格差はこの30年でむしろ小さくなっています。定期的に海外旅行をしているとそれは強く感じます。DNA単位で考えると才能や知性の分配は個体単位でみると平等ではありません。強い種が強い種を生み続けるのが生物の定めだからです。その結果個人の能力は必ず不平等を産みます。

完全なる自由社会ではこの出生の偶然による不平等を軽減させる仕組みが問われてきます。そのために教育が社会全体に対して不可欠になります。また才能を持ち合わせていてもチャンスに恵まれない人たちもたくさんいて、ここにもメスを入れる必要があります。

経済を保護するか、開放するか。米国トランプ政権は保護主義を正義とし、英国も離脱を前提としたポピュリズムを推進しています。ポピュリズムは民主主義の一つで善悪の対象ではありません。

中国がWTOに加盟した後、米国は中国に高い関税をかけてきました。米国の民衆の声は、中国の平均的な家庭が利益を生むことに対して反対し、グローバル化は自分たちに取って都合が悪いことと捉えたのです。

貿易、移民、資本が自由に動くボーダレス社会の一瞬を切り取って、ただ今の瞬間だけを見て物事を判断します。教育は平等に提供していても、そのチャンスを掴むためには個々のDNAが反応しないと積極的な学びは起きません。結果、そこの不平等は解消できないのでしょう。

結果的には生物に生じる個体の優劣は2:8の法則に従い、少数派が正しいと感じても完全なる民主主義になれば8割の意見が押し通されるのです。ポピュリズムは中間層の考えや思考を理解できないエリートからすると異常な状態になってしまいます。しかし中間層、ボリューム層からすると快楽を逸してまで将来を豊かにすることなど耐えられないのです。

トランプ大統領が公平な貿易を推進すると、中国は米国を抜きアジア太平洋を牛耳る地位になったでしょう。米国の代表としては当然自国を一番に考えることが正しいとされます。そこに民主主義と共産主義を対比させて敵国を作って民衆からの支持を得たほうが自分にとっても都合が良いと考えるかもしれません。

一方、中国の持続的な成長を考えた場合も限界があります。人口が増え、財政が破綻することも考えられます。しかしそれ以上にエリートの一部が人民の思考や表現を統制するということに無理が生じると思います。過去の歴史は常に人民の革命によって国が生まれ変わっています。

思考や表現の自由が既存の考え方や高度にメスを入れ創造性を育みます。創造性やイノベーションは常に社会を良くしてきました。自由社会は非自由社会に負けないというのも歴史が物語っています。

中国はAIとIoTなどの最新テクノロジーを駆使して中国共産党の監視システムを世界で最も早く、最も効率的に実現して実装しています。しかし自由を求める人間の性質がDNAには宿っています。監視社会は必ず革命を起こす火種になるのです。



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